4. 品揃え改善、売場改装の実務を知る

1.はじめに
2.「品揃え改善」、「売場改装」の意味と売場改装の種類
3.売場改装はいつ決まるのか
4.「改装計画書」の運用について
5.「改装計画書」の内容
6.「改装計画」の根回し
7.改装の実務で問題になる事
8.改装後の効果検証
9.まとめ

1. はじめに

前回(第3回)のセミナーでは、あるバイヤーの一週間の行動を密着レポートしました。バイヤーの行動の全てを描き切れた訳ではありませんが、”生身”のバイヤー像の輪郭だけは、把握していただけた事と思います。
第1回から前回まで、3回にわたって「バイヤーの仕事を知る」ための基礎的な知識を学んでいただきました。今回から、いよいよバイヤーの実務に関する知識を学んでいただきます。

その第1回である今回は、バイヤーの「品揃え改善、売場改装の実務」についてのセミナーです。バイヤーの仕事は非常に数多く、多方面にわたっている事は第2回、第3回のセミナーで学んだ通りです。
数多くの業務の中で何が一番重要な仕事か、と言う判断は難しい問題ですが、品揃え改善、そして改善を具体化するための売場改装の業務が、非常に重要な業務である事だけはまちがいありません。

ところで、小売業界には業界内でしか通用しない、いわゆる「業界用語」というものがあります(当然、他の業界にもありますが)。この業界用語をおぼえ、正しく使いこなせる事も、ベンダー・メーカーの営業マンにとっては必須の知識、技術です。

今回のテーマである、「売場改装」という言葉も業界用語です。しかし、「改装」という言葉は一般にも使う用語です。業界用語には、その業界にしか存在しない用語と、一般用語だが用語の意味がその業界独自なもの、と2種類あります。「売場改装」はその後者です。
業界以外の人は「改装」という言葉を「住宅や事務所、店舗などの内装や什器を、新しいモノに代えたり、補修したり、レイアウトを変える事」と解釈するでしょう。しかし、小売業界で使う「改装」は意味が違います。什器や内装を変えるだけの「改装」、もない事はないのですが、小売業界で「改装」と言う場合、「品揃えの改善」が伴なう事がほとんどです。そこで、「売場改装」の事を「商品入れ替え」と言ったり、単に「入れ替え」と言ったりする事もあります。

もう1つ、注意すべき点があります。「売場改装」、「商品入れ替え」「品揃え改善」という言葉は、各企業によって意味が微妙に異なる事です。1つの企業の中でも、人によってニュアンスが異なる事も多いのです。まったく同じ事を話しているのに、バイヤーは”今度の商品入れ替えは…”と話し、商品1課長は”君の改装計画書によれば…”と表現し、商品本部長は”品揃え改善で注意する事は…”と表現する、という具合です。

そこで、先ず初めに「品揃え改善」、「売場改装」という言葉の意味を解説し、合わせて改装の種類について整理する事にします。

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2. 「品揃え改善」、「売場改装」の意味と売場改装の種類

「売場改装」の多くは、”品揃えの改善”を目的とする事が多いので、小売業の現場では、「売場改装」と「品揃え改善」が同義語として使われる事が多いのです。

しかし、両者は必ずしも一致しません。両者の関係は”必要十分条件”に似ています。図①を見て下さい。
実際に「品揃え改善」を行なおうとすれば、ほとんどの場合「売場改装」を伴うのです。しかし、一部「売場改装」を行なわないで品揃えの改善が完了する場合があります。商品Aを商品Bに入れ替えるだけで完了する品揃え改善です。棚割の変更が発生しないので、棚札の貼り替えと、商品Aの廃番処理と、商品Bの新規発注だけで作業は終了します。(もっとも以上の作業だけでも「売場改装」と呼ぶ場合もあります。)

 

一方、「売場改装」の意味する範囲は、「品揃え改善」よりもずっと広いのです。図②を見て下さい。「売場改装」には、狭義の「品揃え改善」以外に様々な内容が含まれている事がわかると思います。
次に、「売場改装」の”範囲”について解説します。図②のうち、6、7の改装の場合、売場の中のある部分だけを改装する、という事例は少なく、売場全体を一斉に改装する事がほとんどです。(6のうち、特殊什器や特殊パーツだけを入れ替える場合は、1本単位で行う事もあります。)

 

1~5の改装では範囲が問題になります。”改装の範囲”とは図③で解説している内容です。
図③の1、「売場全体改装」では、品揃えの改善はもちろん導線、ゾーニグの改善、さらに内装の改善までを一気に行う場合が多いのです。導線やゾーニングに手をつけるので、部門毎の売場面積(部門構成)が変化し、品揃え、棚割は必然的に全面変更となります(図④)。

 

図③の2、「ゾーン改装」は、メイン導線で区切られたある区画(ゾーン)を対象に行います(図⑤)。ゾーンには2~3の部門が組み込まれていますが(売場の大きさ、業態の違いによって事情は異なります)、それらの部門は、いわゆる”関連部門”である事が多いのです。つまり、関連する部門でまとまっている「ゾーン」をまとめて改装してしまうのが、「ゾーン改装」です。
ゴンドラ列の向きを変えたり、ゴンドラ連結の長さを調整したり、部門レイアウト、スロットへの商品レイアウトを改善したりします。もちろん、同時に品揃えの改善も行います。

 

図③の3、「部門改装」は、ある部門1つだけを単位にした改装です(図⑥)。この「部門改装」では対象となる部門の、現状の売場のワク内だけでしか改装する事ができない、という制約があります。対象となる部門の品揃えや売場を改善するために、売場面積を変えたり、ゴンドラのスロットを調整したりしようとしても、その結果その部門を取り囲む周りの部門に影響が出てしまう場合は、希望通りの改装はできないのです。
仮に、その部門の現状の売場が6スロット(1スロット7本として)で42本のゴンドラ本数だとします。「部門改装」ではその42本のワク内で、しかも隣接部門に影響が出ない様にして中分類、小分類の構成を見直したり、スロットの長さを調整したりする事しかできません。しかし、エンドの形態を変えてロングエンドを作ったり、特殊什器を組み込んだりする事はできます。

 

図③の4、「スロット改装」は、あるスロットの1列全部が大分類、もしくは中分類に対応している場合に行なわれます(図⑦)。「スロット改装」では、対象となるスロット内のゴンドラ構成、つまり売場面積配分を変える事になります。
仮にある部門の53番スロット(7本連結)が、「家庭用品」部門の中分類「キッチン消耗」だとします。このうち、「アルミ製型品」を現状のゴンドラ2本から3本に拡大しようとすると、その1本分のスペースを生み出すために、同一スロット内の他のゴンドラ6本全体を調整しなくてはなりません。
この「スロット改装」は、品揃えを根本的に改善するには不可欠な手段です。しかし、この改装方法は非常に手間がかかるのでバイヤーが嫌がり、あまり実施されません。

 

図③の5、「ゴンドラ改装」は、最も多く実施されている改装方法です。ゴンドラ1本を単位とした改装ですが、対象は必ずしも1本という事ではなく、2~3本が一つのカテゴリーでまとまっている場合そのまとまりを対象とします(図⑧)。しかし、1本と隣りのゴンドラの3分の1、という具合にゴンドラ”1本”の単位が崩れている場合は「ゴンドラ改装」にはなりません。その場合、作業内容はスロット全部を改装するのと同じ事になってしまうからです。
この事を考慮してバイヤーは、スロットへの商品配置を考える段階で、ゴンドラ1本または2本、3本がある小分類、または品種でまとまる様に考慮しています。

 

以上、図③に示した5種類の改装について解説しました。

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3. 売場改装はいつ決まるのか

品揃え改善、及び売場改装が、バイヤーにとって非常に重要な業務である、と前に話しました。しかし、だからと言って四六時中、売場改装を企画し、実行している訳ではありません。売場改装の回数、内容は、業態、及び部門によって大きく異なりますが、極めて一般的な目安を図⑨にまとめてみました。参考にして下さい。

 

次に売場改装はいつ、どの様にして決まるのか、という事を考えてみます。売場改装はやればやっただけ売場が良くなります。(稀に、以前より悪くなった、どこが変わったのかよくわからない、というドジな改装もありますが)。しかし、改装には多大な手間とコストがかかるので、回数と効果を勘案し、調整する事が重要となります。そこで、小売業の現場では改装を次の様に運用しています。

・改装の種類毎に年間の実施回数の目安を決めておく
・費用の掛かる改装は全社的に管理し、費用の掛からない改装はスケジュール管理のみ全体で行い、改装内容は各バイヤーに一任する
・定例の数値分析で改装をかけるべきポイントを決めておき、そのポイントをオーバーした時点で、改装計画が起案されるようにしておく
・バイヤー、店長から改装を申請させ、その内容を本部全体で検討し、決裁する

これは一例ですが、この様に何らかの取り決めをしておくのが通例です。しかし、「売場改装」は先に解説した通り内容、範囲が複雑です。さらに企業全体で改装の回数、掛かる費用を調整する必要があります。このため、いつ、どこの店の、どのゾーン(部門)を改装するか、という判断は、トップマネジメントに属する重要事項となります。
以上の様に、売場改装の決まり方は、外部の者からはなかなか見えにくいものです。しかし、ベンダー・メーカーの営業マンにとって、その企業の売場改装の起案のされ方、決裁のされ方を把握しておく事は極めて重要で、営業活動に先立って行う、基本確認事項のはずです。その理由は2つあります。

1. こちらから「改装企画」を提案する時、提案のタイミング、企画の内容、プレゼンテーションの方法などを検討する際に必要となる。
2. 先方の改装計画に合わせて商談をしかける事ができる。又、改装の内容に合わせて、商談の相手を選ぶ事ができるので、商談が効率化し、成功率も上昇する。

それでは次に、いくつかの事例で改装計画が決まる手順を解説します。

①「来年度予算」の編成時

どんな場合でも言えることですが、計画がキチンと立てられる企業、ビジネスマンは優秀です。小売企業において来年度の予算編成を緻密に立てている企業では、当然、売場改装の計画もキチンと立てています。この様な企業では費用が発生する改装は当然ですが、費用が掛からない改装も年度営業計画に組み込まれ、管理されます。
「全体改装」は関連部所との調整が必要となり、又、計画書を作る作業も大変なので経営企画室、あるいは商品部の中の企画課の様な部所が担当します。「ゾーン改装」、「部門改装」はバイヤーが自分一人で計画する事もあります。
ところで、費用のかかる改装は、改装の必要性は承認されても、改装費の予算枠との関係で次年度に延期される事も多いのです。仮に本年度に予算がついても、期中の業績が悪化すると中止される事もあります。
「新店」が絶対であるのに対し、「改装」は相対でしかない。これが実態です。ですから、ベンダー・メーカーの営業マンの皆さんは、相手企業のこの辺りの事情をよく探っておく事が大切です。

②店長が起案する売場改装

通例、売場改装は本部が企画し、本部主導で実施します。しかし、これとは別に店長、もしくはエリアマネジャーが起案する場合があります。とは言っても、店長、エリアマネジャーはラインの人間です。その者がスタッフ部門の業務である”企画”を行うのは大変な苦労です。その大変な業務を自らやろうとする店長、エリアマネジャーは社内的にかなりの発言力があり、又、それだけの実行力がある人物、と見てよいでしょう。
この様な店長、エリアマネジャーは自分独自の人脈も築いています。ベンダー・メーカーの営業マンにとっては”要マーク”の人物と言うことになります。
店長、エリアマネジャーが作成した改装企画は、本部で検討され、決裁されます。現場から提案される改装企画は一部修正される事はあっても、決裁される事が多い様です。いわゆる”現場尊重”という事です。

③売上悪化に伴う改装

売場改装の本来の役割からすれば、売上が良くても悪くても、より高い売上、利益を目指して定期的に改装を実施するべきです。つまり先手を打って改装するべきなのです。しかしそれは建前です。実際にはある店のある部門の売上が落ち込み始めてからやっと重い腰を上げる、という改装が多いのです。
この様な”ドロ縄改装”をする企業には大きな問題があります。”売上の悪化”とは言うものの、”悪化”を公に判定する「モノ差し」を持っていない企業が多いのです。別の問題もあります。売上が悪化した原因をキチンと分析しないままに、「売上が悪化した。だから改装する」と単純に考えている企業が多い事です。
この様な企業の改装では、改装する事が目的になってしまいます。その結果、バイヤーの考えも「改装=商品入れ替え」と単純化してしまい、品揃えの本質を改善するまでに至りません。手間ばかり費やされるものの、効果の上らない見せかけの改装で終ってしまうのです。

④競合店対策の改装

このタイプの改装が一番多いかもしれません。しかし、このタイプの改装は最も失敗が多いのです。その理由は、次の5点に要約されます。

1). 競合店を意識するあまり改装する事が先に決まってしまい、内容が無いままスタートする
2). 浮き足立った状態で企画を立てるので、内容が不十分
3). 必ず賛成派と反対派が対立し、結論が出ないまま、タイムリミットとなり、準備不十分のまま形だけの改装が強行される
4). 競合店との差別化を意識するあまり、自店のMD方針を無視した”対策アイテム”が導入されるケースが目立つ
5). 以上の1)~4)の結果、現場の声が反映されず、又改装の目的を現場に十分理解させないまま改装が実施される。それ故、改装後の売場に対する店長及び売場担当者のモチベーションが上がらない。

これらの問題は、準備期間が十分あれば解決されるはずです。そのためには、ベンダー・メーカーの営業マンは、取引先企業にとって”競合”となる新規の出店情報を、できる限り早く収集しなければなりません。その上で、対象店舗に対する売場改装企画の提案をスピーディーに、かつ積極的に行うべきでしょう。

⑤ベンダー・メーカーからの改装提案

ベンダー・メーカーが売場改装企画を提案する目的は、次の3つでしょう。

1). 自社アイテムの拡大を狙う
2). 他社から自社への帖合変更を狙う
3). 現在のままの取引き内容であっても、今よりさらに高い売上を狙う

このうち、3)のケースは稀で、1)、2)がほとんどでしょう。
小売業側もその事はわかっているので、ベンダー・メーカーから売場改装企画が提案されると、先ず警戒してかかります。表面的には「わざわざこの様な立派な企画を提案していただき感謝しております。本来は当社がやらなければならないのに、ベンダー様にお手数をかけてしまい申し訳ありません」などと慇懃にふるまうのだが、本心では、「この連中、何を狙っているのだろう…」と出方を伺って、探りを入れてきます。
お互いの腹の探り合いが続き、なかなか結論が出ません。それ故、ベンダー・メーカー側からの提案は、労多くして実りの少ない結果で終る事が多いのです。
ベンダー・メーカーが改装企画を提案する場合、次の点に留意すると成功率が上がると思います。

・小売側の改装計画を事前に入手し、その計画に沿って提案する。
・改装しなければいけないのだが企画が立てられない、という状況に小売業が陥っている時がチャンス。この時を狙う。
・改装企画を作って持参するだけが営業ではない。改装計画を立てる、その作業を支援する、という”間接的な提案”も有効である。
・本部バイヤーだけと打ち合わせをするのでなく、現場(店舗)とも接触する。

以上、売場改装が、4つの事例でどの様にして決まるのか、について解説しました。

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4. 「改装計画書」の運用について

当然の事ですが世の中には様々な企業があります。「改装計画書」をキチンと作成し、然るべき決済手順を経て正式に承認される企業があります。計画書などまったく存在せず、全てが担当者の独断で決まったり、あるいは当事者の話し合いだけで了解されてしまう企業もあります。そして、その中間の企業もたくさんあります。

ベンダー・メーカーの営業マンは、自分で営業相手を選ぶ事などできません。秀れた企業を担当する時も、ダメな企業を担当する場合もあるでしょう。仮にダメな企業を担当したとしても、相手企業の「仕事の進め方」にまで立ち入る事はなかなかできません。そこで、相手のやり方に合わせる、と言う営業スタイルが重要になります。そのためには、先ず第一にその企業のやり方を詳細に把握する事が大切です。
そのためにも、「改装計画書」に関する一般的な知識を身につけておく必要があります。企画書に記載される用語、数値に対する専門知識を学んでおく事も忘れてはいけません。

ここでは、「改装計画書」の運用について解説します。

①「計画書」は誰が作るのか

前にも書きましたが売場改装は、通常は本部が企画しますから、計画書を作るのは本部のスタッフです。本部の中に「経営企画室」あるいは「店舗企画部」の様な、ストアプランを専門に担当する部所があれば、改装のプランニングもそこが担当します。
しかし、「部門改装」以下の「スロット改装」、「ゴンドラ改装」のプランニングは、ほとんどの企業で商品部にまかされています。

②バイヤーが改装計画書を作る場合

計画書の内容については後で解説しますが、計画書を作るのは意外と難しい作業になります。「部門改装」より小さな改装の計画書でも、作る手間はあまり変わりません。ページ数は少なくても必須項目は省略する事ができません。その数が多いので作業は大変です。日頃の業務ではあまり使わない分析項目、数値項目があったり、図や表を使って説明しなければならないので、慣れていない者には骨の折れる作業です。
又、計画書を作るのはバイヤーであっても、実際に売場改装を実行する場所は店舗です。店舗の協力なくして、改装は実行できないのです。その依頼も自分で行います。
さらに、システム部、販促部、設備部に改装の内容を報告して事前確認をとる事も必要です。什器の手配、POPの依頼も必要になります。
ですから、バイヤーが自分の手で改装計画を立てようとすると、改装の内容を検討する事より、「改装計画書」を作る事に多くの時間を費やす事になってしまうのです。

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5. 「改装計画書」の内容

「改装計画書」には次のような内容が盛り込まれます。

①現状の営業数値

現在の営業状況を把握し、問題点を抽出するための数値を列挙します。一般に次のような数値が使われます。

売上
粗利
在庫
在庫回転率(日数)
坪売上
坪在庫
交叉比率

いずれの数値も必要に応じて、計画対比、昨年対比(過去3年トレンド)、自社内他店との比較、等を行い、現状の問題点が一目で抽出できる様な工夫を凝らします。パソコンの普及で数値をグラフ表示してわかりやすく表現することも一般化しています。

②原因分析

前にも書きましたが、成績が良いのに改装する、というケースは稀で、改装の対象となる店舗、部門、スロットは何らかの問題によって売上不振、粗利低下、在庫増に陥っているはずです。
「改装計画書」の最初の営業数値の項目で、何がどう悪いのか、を確認した後、次にその原因分析を行います。売上及び営業数値不振の原因は複雑で、その原因を追求する事は容易ではありません。しかし、原因が特定できなければ、対策は立てられないはずです。
にもかかわらず、原因の追求、分析が曖昧なまま改装内容を決めてしまう事が多いのです。そうなる理由は3つあります。

原因を追求し明確にすると、社内の誰かが何らかの責任を取らなければならなくなる。
原因を追求し分析するだけの能力と気力がない。
原因を追求する、という地味な仕事をするより、形だけでも対策を立て「売場改装」という行動に移ったほうが目立つので評価につながやすい。

いずれも、レベルの低い話しですが、これが実態です。ベンダー・メーカーの営業マンは、こう言う事情も的確に把握しておくべきです。
しかし、小売業の事情を知る、というだけではこのセミナーの目的は果たせません。相手がダメなら、ダメを補うのも営業マンの務めです。皆さん自身の手で「原因分析」が出来るだけの能力を身につけて下さい。そのための知識を以下で解説します。
売上不振の原因を分析するには、次の様に”分析の切り口”を予め整理しておくのが一般的です。ここでは4つの”切り口”を紹介します。

1).マーケットプラン・マスタープラン分析
その店舗を、今の場所に今の規模で出店した事の是非を分析します。もっとも、マーケットプランに判断ミスがあった、という分析結果が出たとしても、オープン後では何の対案も打てない場合があります。マーケットプランの主な分析項目は次の通りです。

商圏規模と商圏特性
マーケットボリュームと自店の売場規模
交通アクセス
競合店との関係
店舗地形(ぢかた)と道路の関係
店舗建物の形とレイアウト
駐車場規模とレイアウト

2).ストアプラン
「ストアプラン」と言えば、通常はその「店舗」に関わる全ての設計書、仕様書の事を指します。しかし、ここでいう「ストアプラン」とは、その店舗の売場に関わる”基本の枠組み”の事を指します。商品を入れるための「器」の事だと考えて下さい。次の各項目です。

店舗基本設備
レジ位置
カウンター
出入口レイアウト
導線プラン
ゾーニング

これら「ストアプラン」の各項目に不具合があると、MDやオペレーションの改善をしても思う様な効果は上がりません。先ず第一にストアプランの狂いを修正するべきです。しかし、”諸般の事情”というヤッカイな理由が優先され、誰も手をつけません。その結果、ダメとわかっていても表面的な、形だけの小手先の対策でごまかす企業が多いのです。

3).MD(品揃え)
ストアプラン=「器」が良くできていても、「料理」がマズイのでは話しになりません。この料理にあたるのが、MD=品揃えです。品揃えが悪ければ当然ながら、売上は上がりません。
一般には、品揃えミスが販売不振の最大の原因と考えられています。したがって、「改装計画書」の中では、現状の品揃えの分析、問題追及に多くのページがさかれる事になります。しかし、現状の品揃えが正しいかどうか、という問題は、簡単に答えが出せる様な事ではありません。あらゆる角度から分析し、検討に検討を重ねてやっと結論が出せる問題です。にもかかわらず、多くの「計画書」では、おざなりな分析でお茶を濁し”品揃えに問題が多い”と簡単に結論づけてしまう事が多いのです。
「改装計画書」を作る段階での「MD分析」には、ベンダー・メーカーの営業マンも参加したり、レポートを求められたりします。しかし、ベンダー・メーカー側の分析は使い物にならない事がほとんどです。その理由は、対象企業の対象店舗、と特定した分析ではなく、どこの企業の、どの店舗でも通用する様な”一般論”の分析に終始しているからです。
そうならないためには、MD分析の手法を学んでおく必要があります。ここでは、MD分析の手法を詳しく解説する事はできないので、項目のみ紹介しておきます。各自でしっかり勉強してください。
初めにマーケティング項目です。

地域住民特性
自店のターゲットプラン
自店モデルの購買特性

次に、MDの「骨組」に関する項目です。

売場全体面積に対する部門毎の構成比
各部門の売り場面積の絶対評価
各部門のゾーニング
売場の部門関連

次に各部門毎の詳細項目になります。

部門内での中分類構成、さらに中分類毎の小分類構成
小分類毎の品種構成
品種毎の品目・単品選択
スロットへの商品レイアウト
ゴンドラ内の棚割
陳列
インストアプロモーション
価格政策

4).オペレーション
オペレーションとは、店舗運営の全てを指します。先に紹介した喩え話しで説明します。「器」が良く、「料理」が素晴らしくても、ウェイターのサービスが悪かったり、テーブルが汚れていたり、会計時に待たされたり、という事があったらせっかくのおいしい食事も後味の悪いものになってしまいます。これと同じで、ストアプランやMD(品揃え)が良くてもオペレーションが悪いと、客に支持されない店になってしまいます。
売上不振の原因となるオペレーションミスの最大は、「人」の問題です。一般に、オペレーション問題は、「システム」と「人」に分ける事ができますが、小売業では「人」の部分の比重が圧倒的に大きいのです。したがって、オペレーションに問題がある、という時は人に問題がある、と判断してもまちがいありません。
ベンダー・メーカーの営業マンが相手先企業のオペレーション問題まで踏み込んで、売上不振分析を行うのは、大変困難な事です。しかし、このオペレーション問題に手を付けずに、MDの改善だけ行っても、投資対効果が極めて悪い事は、紛れのない事実です。
避けるのか、踏み込むのか、営業マンとしての力量と姿勢が試される場面です。

以上、「改装計画」で行う売上、及び営業数値不振店の原因分析について、大きな項目4点を解説しました。この他にも、「販促」、「競合店」の問題がありますが、それらは各自勉強していただくとして、次に進みます。

③対策の立案

売上不振の原因が判ったら、次はその原因を退治するための対策立案です。「原因に対する対策」ですから、原因1つ毎に、具体的な対策をキメ細かく立案していかなければなりません。しかし、実際の「改装計画書」は、この段階でも手抜きが横行しています。総論的、総花的、な対策が多いのです。もっとも、現状把握、問題抽出、原因分析がいいかげんな計画書で、対策だけがキチンとなる事はあり得ないのですが。
この「対策の立案」については、個別事例毎に事情が異なるので、ここでこれ以上解説しても意味がありません。
ベンダー・メーカーの営業マンとして、次の事だけはしっかり憶えておいてください。

・「対策」と言っても、ある原因を退治するのに何か1つの項目を改善するだけで、物事が完了する事はあり得ない
・木に竹を接ぐ様な対策は、根本的に意味をなさない
・「対策」を実行するのは、現場(売場)の人だから、その人たちが理解できる内容、実行できるレベルでないと意味がない

④実施計画

「改装計画書」もいよいよ4番目の「実施計画」に入ります。「実施計画」とは、売場改装を行うための実務作業に関する全ての計画を指します。一般的には、次の様な事項について内容がまとめられます。

1).スケジュール
他の計画と同じ事で、改装計画でも作業スケジュールが必要です。準備期間中の各作業、改装当日の詳細スケジュール、さらに改装後に行う、結果検証のための会議のスケジュールまで決めておきます。ただし、スケジュールの内容は改装の規模によって異なります。「全体改装」ともなると、新店オープン時と同じ様な広範囲なスケジュール管理が必要です。

2).人員計画
改装作業は、営業を休んで行うので(ゾーン改装、部門改装では、休店はしないものの、対象となる売場が営業休止となる事は同じです)、できるだけ短期間、短時間で作業を行う必要があります。そのためには、たくさんの人員を投入しなければなりません。
これが意外と難しいのです。店舗には店舗の都合があり、ルーチン業務を前提にした人員シフトが既に決まっています。そこにスポット業務である改装作業が入り込むと、店舗の作業スケジュールが大きく狂ってしまいます。だから、店舗側は最小限の人員しか出してくれません。
バイヤー主導で改装を行う場合、この人員確保という事がネックになる場合が多いのです。組織力が弱い企業ではこの事が一層強く表われます。本部と店舗、商品部と店舗運営部及び他の部所。それらの関係がスムーズで、なおかつ1つの目標に向かって全社一丸となる社風が無いと、改装は上手くいかないのです。
ベンダー・メーカーの営業マンにとって、相手先企業の売場改装への取り組み、対応のしかたを観察する事は、重要な情報収集活動と言えるのです。その企業及び、その企業の幹部の力量、バイヤーの能力、さらにはバイヤーと周りの人々との関係、などあらゆる事を全て読み取れる絶好の機会、と言う事ができます。
能力の無いバイヤー、組織力の弱い企業は人員確保ができず、最後の頼み先であるベンダー・メーカーに労務提供を要請してくるのです。その時どう対応するか。理不尽な要請は断固拒否する事も必要です。さもなくば要請には応えておき、後で、その分の労務コストを、納入原価にしっかりと上乗せするとよいでしょう。
その程度の企業は、原価を調整したところで、その事実を見破る事はできないでしょうから。

3).什器、設備計画
売場改装の内容により大きく異なりますが、改装を行うには新しい什器、設備が必要になります。什器、設備を担当する専門の部所がある企業では、その部所へ依頼するため、計画書に詳細を記載しておかなければなりません。
バイヤーが自分で手配する場合は、別途「見積書」を取った上で、「稟議書」を作成しなければならない場合もあります。
いずれにしても什器、設備、備品を新規(追加)に手配するのは手間のかかることです。だから、バイヤーは無理を承知で、現状の什器をそのまま使おうとするのです。ベンダー・メーカーの営業マンはこの事を承知しておくべきです。その上でここを”切り口”に、バイヤーにアプローチすると思わぬ効果が上がるはずです。

4).改装の費用、効果計画
改装する事で何が、どう改善され、その結果、営業数値がどう向上するのか、という計画です。経営上は、この項目が最も重要です。
経営幹部の中には、「改装計画書」を見る時、先ず第1にこの項目をチェックし、費用に見合った効果が期待できない、と判断すると他の項目には目もくれずに「改装計画書」を却下してしまう人もいます。厳しすぎる、と感じるかもしれませんが、経営幹部として当然の行為です。
中・小の小売企業では、新店の時だけはキチンと「費用計画」を作成するものの、改装となると費用をあまりチェックしない場合が多いのです。「請求書」が回って来て初めて改装を知った、という財務部長が居たりするのです。

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6. 「改装計画」の根回し

既に書きましたが、売場改装は、全社横断的な業務です。したがって、起案者であるバイヤー、及び商品部長は、案件毎に社内に向けての”根回し”をする事が必要になります。
この”根回し”という行為は、日本的ビジネス慣行の”悪しき特質”と言われ、しばしば批判されてきました。”根回し”という行為自体の是非はここでは論じません。
しかし、小売企業のほとんどでは、何かをやろうとした時、事前に”根回し”をしておかないと企画が通りにくい、という実情があります。「企画」の内容の良し悪しとは関係なく、”根回し”が無かった、という事が理由、原因で企画が否決される場合も多いのです。
別の見方をすると、仮に「改装計画書」が不十分でも、事前の”根回し”が上手だと、決裁が下りてしまう、という事になります。その辺の事情は、企業によって大きく異なります。ベンダー・メーカーの営業マンには非常に見えにくい部分ですが、機会ある毎に取引先企業の組織運営を観察しておく事が大切です。

観察の手助けをするために、代表的な”根回し”の事例を1つ紹介しておきましょう。

[社長への根回し]
中小の小売企業の場合、オーナー社長のワンマン経営、というスタイルがほとんどです。この様な企業では、商品部長も、営業本部長も名目だけの役職で、全ての決裁権限は社長の手にある事が多いのです。

こんな場合、私がバイヤーならどう出るか。それを紹介します。

先ず売場改装が必要だという店舗、または自分の部門(全部又は一部)を明確に意識します。つまり、自分自身の中に強い目的意識を持つという事です。その上で、先に説明した通りの「改装計画書」を作成します。場合によっては、実際に作成しなくてもいいのです。ワンマン社長への”根回し”では計画書がある、ない、はあまり問題になりません。要は改装の内容をより具体的に整理し、明確にしておく事です。
ここまで準備が出来たら、いよいよ本番です。社長が出席する会議を狙います。(社長に直接アプローチする方法もあります)。その会議で、自分が改装を計画している店舗、または、自分の部門が”成績が悪い”と問題になる様にしかけます。もちろん自分からです。他社データ、ベンダー・メーカーからのレポート等を使い、できるだけ客観的に、自分の部門が大きな問題を抱えている、と社長が思い込む様にしかけます。場合によっては現在のバイヤー(自分)ではダメだ、バイヤーを代えなくては、とまで思わせるのです。
一歩間違えるとホントに左遷されますが、ここまで突っ込まないとダメです。”身を捨ててこそ…”の喩え通りです。自分の部門、自分自身に対する批判が高まり、評価が落ち切ったタイミングを見計らって、仕上げをしかけるのです。
「責任を痛感しております。大変申し訳なく思っております。しかし、私とてこのまま敗れ去る訳にはいきません。どうか、私にチャンスをください。ベンダー・メーカーを総動員し、私の能力全てを出し切り、必ず売り上げを回復してみせます。私にまかせて下さい。この件は全て私の責任で処理します。本来なら、営業本部長、商品部長と十分に内容を検討するべきですが、一刻も早く、売場改装を実施して、売り上げを回復させるため、今回に限り特別の決裁をいただきたい」と演ずるのです。

いかがでしょうか、感想は。どうもこれでは”根回し”ではなく、しかけのテクニックになってしまいました。しかし、こうまでして、バイヤーなり店長がしかけないと、何事も決まらない。決まっても実行されない。実行すると言っても担当者だけしか動かない。という”悪しき公務員病”の様な企業が多いのです。ベンダー・メーカーの営業マン諸氏も、この位のしかけをして相手企業を自分の意のままに動かしてみませんか。

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7. 改装の実務で問題になる事

話を一気に進めて、「売場改装の実務」に入ります。売場改装の実務については、皆さんはもうよく理解している事と思います。理解というよりも体験と言うべきですが。
そこで、この項では趣向を変えます。売場改装の実務を解説するのではなく、改装実務で発生する問題、特に店舗からバイヤーに対して寄せられるクレームについてまとめてみます。ここで取り上げるクレームをキチンと解消し、しかるべき対策を講じられないバイヤーは、次回の改装が事実上不可能になってしまうのです。
本部と店舗を比べた時、指示を出す側と受ける側、という見方をする事があります。その見方は正しいのですが、だからと言って、本部が全てを決めきれる訳ではないのです。小売業にあっては現場(売場)の意見、発言力は外部の皆さんが思っている以上に強いのです。
それでは、クレームの事例を紹介します。

①前準備に関するクレーム

「改装計画書」が届いていない
当日の作業スケジュールがわからない
改装用と思われる商品が入荷したが、「連絡書」も無く、荷受けで困っている
店舗で什器を用意しておいてくれ、と指示書が来たが、そんな什器は店には無い
バイヤーからの連絡が直接、売場担当者に行ってしまい、店長には全容が把握できない

②当日の作業に関するクレーム

ベンダー・メーカーの応援者が早くから来ているのに、本部バイヤー、本部担当者が来ていない
応援者の車が多くて、駐車場を占領して困る
工事業者の態度が悪い、入店管理規定を守らない
売場の作業現場に、お客様へのお詫びポスターが用意されていない
売場で什器の加工や組み立てをすると、お客様に迷惑がかかるので困る
当日、商品が入荷していないモノがあり、欠品状態のままで困る
棚割にムリがある、と注意したのにバイヤーからの指示だから、とベンダー担当者は受けつけてくれなかった
入れ替え返品商品がコンテナに収められたまま倉庫に戻され放置されている
棚割からあぶれた商品がそのまま売場の隅に放置されている
不要になった什器及び余った什器が倉庫に放置されている
商品マスター未登録の商品がある。手書きのプライスカードを付けたままで、その後の処理が不明
POPがまったく手配されていない。その旨注意したら、本部ではできないので店でやってくれと言われた
作業が終わったら、店舗にあいさつもせず帰ってしまった
作業終了後、店長をはじめ、売場主任、売場担当者に改装内容の説明があると思ったのに、終わりました、というあいさつだけで何の説明も無かった

これはほんの一例です。この様なクレームが発生しない様、バイヤーや本部担当者は、作業を進める上で細心の注意と気配りをしなければなりません。
ベンダー・メーカーの営業マンの皆さんも、十分気をつけてください。

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8. 改装後の効果検証

売場改装が終わると、早い場合は1ヶ月後、遅くとも3ヶ月後には、改装効果を検証します。検証は、その改装を企画した者(バイヤー、商品部、企画室)が中心になって行います。しかし、結果の検証ですから、自分ひとりの考えをまとめるのではなく、広く周囲の意見を求め、多角的に分析する事が大切です。
検証の方法としては、次の3つが代表的です。

検証レポートを作成する
検証のための会議を行う
検証のために調査を実施する

いずれか1つだけ、というのではなく組み合わせる事がほとんどです。
この効果検証が終了して、はじめて売場改装業務が完結するのです。しかし、ほとんどの企業、ほとんどのバイヤーは検証を行っていません。”やりっぱなし”という事です。
「ビジネス・スパイラル」という考え方があります。プラン-ドゥ-シー-シンク(Plan・Do・See・Think)、というよく知られた考え方です。この考え方を引用するなら、小売業の売場改装は、シー、シンクが無いのです。それどころか、プランすらない場合もある、と前に書きました。つまり、「ドゥ(行動)」のみ、という事です。ドゥ、ドゥ、ドゥ……。「君達はまるで馬の様だネ」と、私は指導先のバイヤー達に言っています。
検証の方法を解説しておきます。改装効果の検証ですから、当然、比較対象は、改装前と改装後、となります。それと、計画と結果の比較です。

①営業数値の検証

「改装計画書」で提示した営業数値計画に対し結果はどうであったか、を検証します。

②売場の検証

数値だけでは片寄った分析になってしまう恐れがあり、数値に表われない問題もあります。そこで、次に改装した売場そのものの検証を行います。この検証には写真を使います(売場に出向いて立ち合い検証する方法がベストですが)。改装前と改装後の売場の写真を左右、又は、上下に並べて貼って見比べるのです。この写真からは、売場全体のイメージ、陳列の具合、フェースの取り方、在庫の状況、店頭販促物(POP等)、等をチェックします。

③ 店舗の意見

店長をはじめ、売場の担当者の意見をききます。社員だけでなく、パートさんアルバイトさんにもききます。特にパートさんの声は重要です。従業員の立場としての声だけでなく、主婦の立場、客の立場で改装結果を評価してくれるからです。

④ 客の意見

売場での聞き取りを行います。客から意見を聞き出す事は非常に難しい技術ですが、これが最も重要な評価となります。聞き取りではなくアンケート形式で、客の声をまとめる方法もあります。

⑤ 調査

代表的な調査は「客導線調査」、「バスケット分析」、などです。
これらの手法を用いて、売場改装の効果を検証します。
検証の結果、計画通りの効果が上がっていれば、そこで今回の「売場改装計画」は完了しますが、計画に達していない場合は、再度振り出しに戻って、原因分析から再スタートします。

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9. まとめ

今回のセミナーでは、小売業の「品揃え改善、売場改装の実務」を学びました。ベンダー・メーカーの営業マンが、小売業の実務を学ぶのは、大変難しい事だと考えます。難易度は低いのですが、業務が複雑、と言うより体系化していないために、外部の人にはわかりにくいのです。しかし、営業マンにとって、取引先のバイヤー及び店舗の実務を把握しておく事は、営業活動の基本中の基本だと考えます。大変ですが、コツコツと地道に学んでください。
最後に小売業の実務を学ぶポイントを解説します。

1. じっくりと徹底的に観察する事
2. バイヤーの業務だけでなく、会社全体業務との関係を把握する
3. 実務で使われているツール(書類、伝票、備品、什器など)を把握する
4. 誰が、いつ、何を、どの様に、どうする、を確認する
5. (これが一番です)可能ならば、相手企業にお願いして、それぞれの実務作業を体験してみる

それでは、次回をお楽しみに。

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