5. バイヤーのマーケティング、販促業務を知る

1. はじめに
2. マーケティングとは何か
3. 小売業のマーケティングの実態
4. 販促部の実態
5. バイヤーのマーケティング活動
6. 小売業のチラシ業務体系と各部所の役割
7. チラシの基本知識
8. バイヤーのチラシ業務
9. プロモMD
10. バイヤーの店頭販促業務
11. マーケットリサーチ
12. あとがき

1. はじめに

今回のテーマはバイヤーの「マーケティング活動、販促活動」についてです。 ところで、「マーケティング」とは何でしょう。
この言葉は極めて曖昧な言葉で、人によって解釈が大きく異なります。”人によって”と言うより、その人が属する業界によって、企業によって、と表現するのが正しいかと思います。 そこで先ず初めに、このマーケティングという言葉の定義づけをします。

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2. マーケティングとは何か

「マーケティング」に関係する業界は次の6つに整理できます。

1. マーケティング専門会社
2. 広告代理店
3. マスコミ(新聞、放送、雑誌)
4. メーカー
5. ベンダー
6. 小売業

このうち、学問的な意味での「マーケティング」の活動を行っているのは、最初にあげたマーケティング専門会社だけ、と言えるでしょう。

2番目の広告代理店になると、マーケティングを支援する業界とは言いつつも、マーケティングの中で最も企業の投資額が大きい販促活動の分野に大きく片寄った状態になります。

3番目のマスコミは、自社の媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)での広告収入が経営の源泉です。
そのために営業部が営業活動を行う。その営業では、スポンサー側に「企画書」を提案し、なぜこの広告が有効か、という事をマーケティング的に提言する必要があります。 マスコミ業界にとってのマーケティングの必要性はこの程度でしょう。

4番目のメーカーにとっては、マーケティングは極めて重要です。 重要と言うよりもメーカー活動の原点です。したがって、メーカーは当然マーケティングに力を入れます。
社内に専門部所を設け、優秀なスタッフを抱えています。マーケ部と商品開発部が連携して新しい商品を誕生させるしくみが出来ています。
マーケ部が企画し、その企画をもとに開発部がより高品質で低価格、それでいてオリジナリティーがあり、客に支持される商品を開発するしくみです。

5番目のベンダーになると、マーケティングの概念は一気に崩れます。 代理店、問屋にとってマーケティングなどと言う、”こむずかしい”理屈はどうでもよい事になってしまうのです。
仮にマーケティング活動という意識があったとしても、それは直接的な売上促進活動を意味する言葉でしかないのです。
メーカーとのタイアップ販促を企画したり、月間リベートを設定して量販バイヤーに提案したり、その程度の活動を、マーケティングと考えているのです。

6番目の小売業にとってのマーケティングはどうでしょう。
どう、と言うより何より、日本の小売業の中で、マーケティングを理解し、活動している企業はほんの一握りにすぎないのです。

各業界によって、マーケティングに対する意識、取り組みに大きな違いがある、と言う事がわかった所で次に進みます。
次は小売業のマーケティングの実態について解説します。

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3. 小売業のマーケティングの実態

ここで改めて「マーケティング」を定義しておきます。ある本には、マーケティングとは「企業の製品の市場創造を担当する活動」であると書かれています。
この様に、マーケティングは元々は製造メーカーが自社の製品の販売先=市場を開発し、拡大するための活動として発展してきました。
しかし、その後、製造メーカー → 卸(問屋) → 小売 → 消費者、という古典的な消費材の流通形態が崩れ出した結果、マーケティングも変容し始めます。
従来は、”メーカーのやる事”、と思われていたマーケティングは、次第に、卸、小売業にも意識されはじめたのです。
しかし、製造メーカーの市場開発手法として研究され、発展してきたマーケティング理論を卸(問屋)、小売がそのままの形で自社の営業活動に応用するのは元々無理がありました。 にもかかわらず、小売業は”マーケティング”を導入しました。
言葉の響き、何やらこれをやらねば一流企業になれない様な、そんな気にさせる、その言葉の響きに引かれて。
つまり、小売業にとってのマーケティングは、最初から看板だけだったのです。
したがって、現在にいたるまで、マーケティング理論を自社流に組み替え、体系化した上で実務に落としこんでいる、つまり実務に活用している、という小売企業は非常に少ないのです。

ここで、小売業にとってのマーケティングを整理しておきます。
図①に小売業におけるマーケティング体系を解説してあります。この図をもとに説明します。
順番に説明します。

第1は、マーケットリサーチです。
このマーケットリサーチこそマーケティングの第一歩です。当然、メーカーもこのリサーチには力を入れて、詳細な分析を行います。
しかし、メーカーと小売業のマーケットリサーチでは決定的な違いがあります。
メーカーのリサーチは、自社製品の開発のために行なわれます。
つまり、”誰が、どんな物を欲しているか”という事を探り出して、そのニーズ、ウォンツを充足させるための商品を開発し、新しい市場を形成するために、リサーチを行います。

一方、小売業のリサーチは対象を2つに分類して行います。1つは消費者で、もう1つは小売業界です。
メーカーは消費者のニーズ、ウォンツをダイレクトに分析します。
これに対し、小売業では、そのニーズ、ウォンツが既存小売業で充足されているか、いないか。いないとしたら、そのニーズ、ウォンツはいかなる業態(=MDフォーマット)によって充足可能かという事を分析課題にします。
そのために、消費者と既存小売業との購買状況を調査するのです。

小売業のマーケティング活動の第2は、MDフォーマットの検討、確定です。 メーカーは、自社分野(カテゴリー)に限定した市場開発です。
しかし、小売業は無限に近い膨大な数のカテゴリーの中から、自社が扱う範囲を、数千~数万に絞り込まなければなりません。
その組み合わせかたで「業態」ができる訳です。つまり、何十万、何百万もあるカテゴリーの中から、どれとどれを取り込んで組み合わせた業態が最も有効か、という検討です。
通常は、いきなりカテゴリーの検討に入るのではなく、先ずはじめに部門(デパートメント)の組み合わせを検討し、次に中分類、小分類という具合にブレイクダウンしていきます。
この、MDフォーマットの検討でマーケティングが重要になるのです。
消費者ニーズ、ウォンツを研究し、どのカテゴリーが成長し、衰退するのか。そして、競合他社及び小売業界全体の動きを分析します。

小売業のマーケティング活動の第3は、品揃え計画です。 自社のMDフォーマットが決定した次の段階で行います。MDフォーマットで検討し、確定したのは、カテゴリー構成までです。その次の段階が品揃え計画になります。ここで検討されるのは次の項目です。

商品特性(用途、機能、効能、サイズ、色など)
ブランド特性
プライスライン
カテゴリー別構成比

この検討でもやはり、マーケティングの理論が非常に役立つのです。

第4のマーケティング活動は、品揃え計画の検討と同時進行で行なわれる、メーカー・ベンダー構成です。
この部分はマーケティングと言うより、マネジメントの領域です。
しかし、どのブランド(ベンダーPBも含めて)を選ぶかは、品揃えの成否に大きな影響を与えるのです。
したがって、マーケティングを活用したメーカー、ベンダー構成の検討が必要になるのです。
ともすると、この検討では、マネジメントを優先しすぎます。その結果、MD(マーチャンダイジング=品揃え)が悪くなり客の支持を失う、売上が落ちる事になってしまいます。 つまり、マネジメントとマーチャンダイジングのバランスが重要、と言う事です。

第5のマーケティング活動は、出来上った品揃えを「売場」として構成した時、売場において行う販促活動、いわゆる「店頭販促」です。 店頭販促については第9章で改めて解説します。

第6のマーケティング活動は、消費者に対して直接行う販促活動、「広告・宣伝」です。
しかし、小売業では、あまり広告・宣伝という言葉は使いません。メーカーの考える広告・宣伝が小売業では販促です。
メーカーの立場では、消費者に直接働きかける広告・宣伝と、卸(問屋)・小売業者に働きかける販促とは、まったく別の活動です。
最終目的はどちらも売上アップ、利益アップですが、アプローチのしかたが異なります。
しかし、多くの小売業では、売上アップ、利益アップのための販売活動、総てを一緒にして、販促と呼んでいます。
しかも販促の中の店頭販促がほとんど行なわれていないので、販促=広告・宣伝という事になっています。
その上、広告・宣伝の大半はチラシに頼っているというのが実態です。

第7のマーケティング活動は、効果検証です。MDフォーマット、品揃え計画、店頭販促、広告・宣伝、これらの内容が正しかったかどうか、客の反応、評価を検証します。
本来なら、この効果検証の結果をフィードバックして、それぞれの項目を再検討するべきなのです。
しかし、実施されていない企業がほとんどです。

以上、小売業のマーケティング活動を7項目に体系化して説明しました。
しかし、この体系図は本来はこうあるべきだ、という事でしかありません。
実態はどうか。ほとんどの企業では、マーケティング体系が構築されていません。
結果においてマーケティング活動らしき事が行なわれているにすぎません。
それらは、マーケティング体系の一環としての活動ではなく、個々の部所がバラバラに思い思いの手法で行っているにすぎないのです。

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4. 販促部の実態

この章では話しがいきなり、具体的な内容に入ります。 小売企業には必ず販促部(販促課)という部所があります。 メーカー・ベンダーの営業マンには名称からして、この部所がマーケティングを担当しているのだ、と思えるのでしょう。よく、その様な質問を受けます。
「あの企業は販促部があって、専任スタッフがいるのに、マーケが弱いですネ」といった内容です。
結果はその通りですが、しかし、大変な勘違いをしています。 そもそも、小売企業にはマーケティングの発想が無いのだ、と前にも話した通りです。
では、いったい「販促部」とは何をしている部所でしょうか。販促部の仕事を図②にまとめました。

一覧にすると、いかにも様々な仕事を担当している様に見えます。これならマーケティング部、と称しても良いのではないかと錯覚してしまいます。
しかし、外部の者には図②を見ているだけでは見えない問題があるのです。
それは、1つ1つの業務への時間配分、予算配分です。 販促部の予算の9割以上はチラシ費です。
販促部員の仕事の95%以上はチラシ業務です。
これが問題なのです。小売業の販促部は、その名の通り販促業務しかやっていない。しかも販促の中のチラシに掛かり切り、という状態なのです。
ところで、販促部は組織上どこに属しているのでしょう。実は、販促部が組織上、どの位置に置かれているかによって販促部の存在感というか、企業内での力関係が見えてくるのです。
販促部の位置は図③に示す様に、3つのタイプが考えられます。

第1は、商品部に属するタイプ。このタイプでは、当然の事として商品部長の意向、バイヤーの主張が尊重される事になります。商品部長の性格にもよりますが、商品企画が中心のチラシになったりします。

第2は、店舗運営部(販売部)に属するタイプ。このタイプでは、即効性のあるチラシ。つまり”売り”を真正面から獲りに行くチラシになりがちです(日替りや均一などが増えます)。

第3は、商品部にも販促部にも属さず、営業本部長直轄のタイプです。商品部からも、販売部からも独立し、販促部本来の仕事が出来そうです。これが一番良い組織形態と考えがちですが、そうではないのです。
上司である営業本部長は、実務の事はほとんどわからないので、総てを販促部長にまかせてしまいます。
一方商品部、店舗運営部は、販促部に言いたい事があっても、営業本部長直轄部隊なので、なかなか口出しできないのです。
と言う事で販促部が独断専行してしまうのです。
その結果、チラシが、デザイン優先になってしまったり、チラシ製作会社のスケジュールが最優先されて社内が混乱する、こんな問題が起きたりするのです。

この様に、販促部は業務の内容、組織上のポジション、と2つの大きな問題を抱えています。
メーカー・ベンダーの営業マンは、販促業務の件で、相手先企業の販促部とつき合う場合、次の点に十分気をつけるべきです。

1. 相手先企業内での販促部のポジション
2. 販促部が第3のタイプだとしたら、中立か、商品部寄りか、販売部寄りかの判断
3. 業務内容と時間のかけ方
4. 店頭販促での販促部、商品部バイヤー、販売部、店舗の役割分担
5. 販促経費の負担割合(販促部、商品部、販売部での負担割合。特に店頭販促で)

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5. バイヤーのマーケティング活動

多くの小売企業にはマーケティング体系が無い、と解説しました。
そうであるならバイヤーがまともなマーケティング活動などを行っているはずがありません。
しかし、ここで一応、バイヤーが行っているマーケティング的な事を確認しておきます。
図④はバイヤーのマーケティング活動をまとめたものです。
当然、作業量で最も多いのは、第1のチラシ関連業務です。

 

一説には、バイヤー全業務の60%~70%がチラシ関連だ、とも言われています。

第2に、店頭販促関連業務があります。この中には、POP関連業務、パンフレット、カタログ、メーカー販促ツールなど、その他の販促物業務、イベント、実演、マネキンの手配などがあります。

第3は、マーケットリサーチ業務です。この中で最もよく実施されているのは、競合店のリサーチです。
小売業界で単に「MR」と言う時は、競合リサーチの事です。
他に、当該部門の自社マーケット特性を把握するためのリサーチがあります。
例えば、ペット部門では自社商圏内での犬の飼育状況、大型、中型、小型犬の割合、家内・家外での飼育状況などをリサーチします。

それぞれの項目の詳細は、次章以降で解説します。この章では、次の事をしっかり理解して下さい。

1. 企業全体がそうである様に、バイヤーもまたマーケティングらしいマーケティングはしていない。
2. 販促業務がほとんどあり、その中でもチラシ業務に集中している。
3. チラシを含め、バイヤーの販促活動は常に関連他部所(販促部、店舗運営部)との調整が必要である。
4. したがって、バイヤー独自の販促活動はほとんど不可能。
5. どの業務でも、バイヤーの役割は社内調整や事務作業が大半を占めている。

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6. 小売業のチラシ業務体系と各部所の役割

この6章と7章、8章では、小売企業のマーケティング活動の大部分を占める「チラシ」について解説します。
先ずは、チラシ業務体系と各部所の役割について解説します。
チラシは古くからある販促物です。
バイヤーという仕事を離れて家庭に戻っても、テーブルの上には新聞と一緒にチラシが置かれている事が多く、極めて日常的に接しています。
メーカー・ベンダーの営業マンも、チラシとは関わりが深いはずです。
チラシ業務に関連してバイヤーから頻繁に問い合わせが来たり、チラシ掲載商品のサンプルを手配したり、という具合に。
しかし、一本のチラシが完成するまでの業務体系をキチンと把握しているメーカー・ベンダーの営業マンは数少ない事でしょう。
いつも言う事ですが、営業マン諸氏は、バイヤーという”点”でのみ、小売企業と接しているので、相手企業の全体が理解できていないのです。
図⑤は小売業のチラシ業務を一覧にしたものです。
この一覧は年間を通してのチラシ運営業務、及び1本毎のチラシ製作に関わる業務を体系化したものです。

いずれの図も、良く見れば理解できる内容のはずですが、主な業務について、次に解説します。

① スケジュール管理

チラシのスケジュール管理とは、一般に言うスケジュールとは意味が異なります。 1年52週に対し、どの週に、どの様な内容(チラシテーマ)でチラシを計画し、そのチラシのサイズ、色数、配布エリア、デザインタイプはどうするか、という各項目を検討する事です。
チラシは年間を通じて配布するのでスケジュールの出来、不出来が成否に大きな影響を与えます。
少ない予算で大きい効果を上げるには、このスケジュール管理が非常に大切なのです。

② 予算管理

小売業のコストでの”3大項目”と言われているのが人件費、地代・家賃、販促費です。
販促コストはそれだけ大きいので、緻密な予算管理とコスト削減努力が求められます。
とりわけチラシコストは、小さな単価の積み重ねです。それだけに、1枚の写真代、1ヶ所の修正代だけで見るとたいした額ではなくても、1本のチラシ全体では商品点数が200~300にもなるので、合計すると大変な額になるのです。
だから、コスト管理を厳密に行う必要があるのです。
チラシのコスト構成を図⑦にまとめました。
この図から、チラシコストは直接コスト、間接コストに分かれる事と、それぞれの詳細項目を理解して下さい。

 

図⑦

③ チラシ企画

チラシの企画は、大きく3つに分けられます。

1. 「年間企画」
2. 「シーズン企画(4半期企画)」
3. 「1本毎企画」

第1の「年間企画」は文字通り、年間を通じての企画です。
新年度が始まる前に、次年度一年分を企画します。(図⑧)

図⑧

第2の「4半期企画」は、年間企画を元にその後の状況の変化を加味して修正したものです。
年間企画より内容がより具体的化してきますが、フォーマットは同じです。
「1本毎企画」は、チラシ1本について内容を詳細にまとめ上げた、企画書です。
チラシMDの設計図、デザインの仕様書、とも言えるものです。 (図⑨で例を紹介しています)

図⑨

④ チラシMD

1本毎の「チラシ企画書」には、チラシMDの方針、テーマ構成、部門構成、カテゴリー構成が示されています。
バイヤーはこの企画書の指示にもとづき、チラシの品揃えを実行していきます。
品揃えや関連作業を実施するためにはメーカー・ベンダーとの商談が必要になります。
品揃えがまとまると、その内容でリストを作成します。
次に、写真撮影用のサンプルを手配します。
チラシMDにはこれらの作業以外にさらに次の項目があります。
「売上計画」を立てます。店別、商品別に売上個数、粗利の計画を立てます。
「発注書」を作ります。発注を店舗で行う場合は発注ファイルに必要事項を入力するだけで、後は店舗にまかせます。

⑤ 製作業務

チラシの製作業務は、販促部が担当します。
しかし、担当するとは言っても実際の業務はチラシ製作会社が行い、販促部はその窓口になるだけです。
製作業務は次の様な流れになります。
「リライト」はバイヤーから提出された原稿を元に、チラシ紙面上での最適な表現に書き直す事です。
しかし、最近は作業の効率化ばかりが優先され、リライトを省く企業が多いようです。
省力化と言う事とやるべき事はキチンとやる、という事は二者択一ではないはずですが……。
「紙面構成」は、予定していた紙面レイアウトにもとづいて、商品のグルーピング(”くくり”と呼びます)、商品ごとの大きさを、原稿を見ながら最終決定する作業です。同時にタイトル回りの処理、店名回りの扱いも決めます。(図⑩でチラシ紙面の解説をしています)

 

この紙面構成はチラシの出来、不出来を左右する非常に重要な作業です。
しかし、この作業を社内で行なわず、外部の製作会社に一任してしまう企業が多いのです。
バイヤーはほとんどノータッチです。現状のチラシ製作では、バイヤーはチラシ全体の構成には加わらず、ただ材料を集めるだけの役割で終っています。
「料理」に喩えて説明します。
材料を集める、とは言っても、「献立」そのものが極めて抽象的な、大雑把な内容ですから、材料を集める方もいいかげんです。
献立と合っていなくても、献立に必要な材料が欠けていてもおかまいなしです。
リライト作業、及び紙面構成は材料を加工、調理して盛り付ける作業です。
この調理人(チラシ担当)が又、いいかげんです。当初計画した献立の事など無視して、集まってきた材料を適当に加工し、どうにか食べられる様にして外部の製作会社に”丸投げ”してしまうのです。
製作会社は、材料の知識がまったくないし、加工、調理の技術も低いので、見栄えよく並べる(盛り付ける)事に注力します。
こうしてできた料理(チラシ)は、三流旅館の「豪華懐石風料理」とまったく同じ。見ただけでゲップが出るしろものです。

⑥ 出稿業務

この業務は、製作会社側から見ると「入稿」になります。原稿を”出す”、”もらう”という事からこう呼ばれます。
出稿は、本来なら製作会社のディレクター、デザイナー、担当営業を前に、当方の意向を事細かに伝える業務のはずです。
チラシには仕様書、設計書が無いので、それを口頭で伝えるのが出稿業務です。仕様書、設計書の代わりですから、非常に大切な仕事です。
しかし、チラシ担当もおざなりに済ませてしまうし、バイヤーが出稿に立ち会う事はまずありません。

⑦ 撮影

チラシに掲載する商品の写真は、一度撮影した物であればポジフィルムの状態で管理されています。
毎回、毎回撮影する事はありません。
最近ではデジタルデータ化して、コンピューターに保管している企業も多く見られます。
しかし、最初に掲載する時だけは必ず撮影します。この作業でも省力化、効率化を急いだ結果、問題が生じています。
撮影をカメラマンに任せきりにしているのです。カメラマンは、マニュアル通りに自動的に撮影しているだけ。
棚割システム用の画像ならこれで良いのですが、チラシ掲載用の写真はこれではダメです。
その商品を最も効果的に表現するにはどの角度から撮影するのが良いか、商品の特徴、効能を訴求するにはどうすべきか、時にはパッケージから取り出した状態で撮影する事も必要です。食品では、容器に盛りつけた状態で撮影する事もあります。
それらは、商品を一番よく知っているバイヤーが立ち会わなければ、わからない事です。
カメラマンは多くの場合、歩合制で雇われていて、1点撮影して○○円、という契約です。
その商品に最も適した角度とか、小物と組み合わせて演出する、とかそんな事に配慮していては、自分の稼ぎが少なくなってしまうのです。

⑧ 校正

校正には次の3種類があります。

・レイアウト校正
・レイアウト校正
・色校正

校正は通常チラシ担当者とバイヤー、双方が同時に行います。
企業によっては店舗運営部にも回覧しています。
チラシの校正は、本来は製作上の作業です。しかし、現実には、レイアウト修正も、文字校正も、色校正も総ての校正段階で校正紙をバイヤー及び店舗運営部がチェックしています。
つまり、現状の校正は校正本来の意味を免脱しているのです。
バイヤーは校正の時点で商品の入れ替え、売価の変更を平気で行います。
店舗運営部は、チラシMDの骨組みに対し、いとも簡単に変更を申し出ます。
幹部は、デザインや色、文字の大きさなど重箱の隅をつつきます。
なぜこうなるのか。原因の第1は、チラシ企画に対し、事前の検討がほとんどなされていないからです。
第2は、チラシ製作の全体を把握している幹部がいない事です。
第3は、チラシの結果に対し、誰も責任を執る気がない事です。何かの時の為の保険として、途中で口を出しておくのです。私は意見を出しておきました、という責任逃れです。
第4は、チラシの構成要素(レイアウト、色、MD、売価等)とチラシ効果の関係がわかっていない事です。
第5は、チラシコストの構造がわかっていない事です。校正段階での修正、変更にどのくらいコストがかかっているか知らないのです。誰もが。
もちろん、製作会社の営業は、そのコストはサービスです、と言っているのですが……。

⑨ 売場作り

チラシ期間中はチラシに対応した売場に変更するのが鉄則です。 店舗では、チラシの詳細が確定し、その内容が店舗に知らされた時点から、チラシの準備作業が始まります。 以下に、売場づくりの作業を解説します。

● チラシ企画書・リスト
チラシの内容は、企画書・リストの状態で店舗に伝えられます。
しかし、内容が悪く店舗では、チラシの内容がわからずに困っている、という企業が多いのです。 一応、月間の企画書の様なものは届くのです。しかし、これがいいかげんで、まったくあてになりません。
なぜかと言うと、その企画書を作った後、変更が続出するからです。
バイヤーの原稿が完了した時点で、そのリストを店舗に送る企業もある様です。それでも、店舗は信用しません。と言うより、現状の「チラシリスト」では、店舗側はチラシの内容を把握しきれないのです。
対策として、校正紙を店舗に送って、校正紙面でチラシ内容を確認している企業もあります。
なぜリストだけではダメかを説明します。多くの企業のチラシリストには「紙面コーザル」(これは私流の呼び名で一般には使われていません)が表記されていないのです(図⑪に紙面コーザル一覧があります)。

 

図⑪

だから、店舗ではその商品が紙面のどの場所に、どのグループで、どれ位の大きさで、どの商品と一緒に掲載されるのか、売価の表現はどのようになるのか、つまり、その商品が紙面でどう扱われるかがわからないのです。

● 商品レイアウト
チラシ掲載商品を1点毎に、売場のどの位置で販売するかを決めていくのが、商品レイアウトです。
通常、売場主任と売場担当が相談して決めます。当然、店長が最終チェックをします。
この商品レイアウトが悪いと、売れる商品も売れなくなってしまいます。
ベンダー・メーカーの営業マンにとっても、非常に”気を揉む”場面です。
レイアウトの決め方は、企業によって異なります。本部から細かな指示が出る場合、店長が全て指示する場合、売場主任に任されている場合、売場担当が勝手にやっている場合、などです。
営業マンとして働きかけをするなら、相手企業の状況を事前によく把握しておく事が大切です。

● チラシPOP
最近では、POPはほとんどの企業でパソコン製作になってしまいました。 しかも、チラシPOPは定型フォームにデータを流し込むだけで、自動的にプリントされる様になっています。
この方法で大巾なコストダウンを達成しました。
しかし、POPの効果も大巾にダウンしています。
そんな事にはおかまいなく、売場スタッフは黙々とPOP付けをしています。
POPの取付け作業はチラシ前日の閉店後か、チラシ当日の開店前か、いずれかで行います。作業はアルバイトが担当する事が多い様です。
POPを取付けた後は必ずチェックしなければいけないルールになっています。しかし、現場の担当者はほとんどこのチェックをさぼります。
その結果、付けまちがい、POPの売価とチラシ売価、レジ売価が違う、と言った初歩的なミスが発生するのです。

● レジPLUマスター更新
PLUとは”プライス・ルック・アップ”の事で、POSレジの売価をコントロールするマスターの事です。
チラシ期間中はチラシ売価に変更されるため、PLUマスターにその情報を組み込む必要があります。
この作業はシステム部のオペレーションにより、自動的に行なわれます。
一般には前日(当日)の深夜にオンラインで自動処理されます。
しかし、元になるデータ(紙に書かれたリスト)を作る、また、リストを入力するのは人の手です。ここでミスが発生します。
POSレジの売価違いでお客様から一番クレームが多いのは、チラシ売価と、企画品の売価です。

⑩ チラシ期間中の業務

チラシ期間は通常、2日~4日間位です。 当然、初日のオープン直後の状況(チラシ効果)を分析し、改善策を検討し、対策を打つべきです。
しかし、ほとんどの企業では何も行動していません。
本部にとってのチラシ業務は、製作が終ったらそれで完了なのです。
バイヤーは校正が終われば完了(原稿を出した時点で完了と思い込んでいるバイヤーもいる)。
チラシ担当は印刷の指示(枚数、納品先)を出した時点で完了。
店舗はチラシPOPを取付けた時点で完了。
これが実態です。(図⑫でチラシの分析項目を解説しています)

 

図⑫

⑪ チラシ実績分析

どの企業でも単品毎のPOSデータは見ている様です。 しかし、見ているだけです。 チラシ1本毎の売上実績(販売点数、販売額、粗利等)は、販促部が集計して(と言ってもシステムで自動出力)配布します。 しかし、それ以降の分析はまったく行なわれていません。 チラシ自体と売上実績を突き合せての検討ができていないのです。 テーマ構成、品種構成、ブランド選択、商品のくくり、テーマレイアウトなどなど。 売上データと紙面を見比べて検討しなければ本当の意味でのチラシ実績の分析はできないのです。 それに、売場の状況とチラシを突き合わせての分析も重要ですが、これも行なわれていません。 又、売れた数だけは把握していますが、残品はまったく把握していない企業が多いのです。もちろん期間中の欠品も握んでいません。

以上、小売業のチラシ業務体系を解説しました。

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7. チラシの基本知識

7章では、このセミナーの趣旨からはいささかはずれますが、せっかくの機会ですから、チラシに関する基本知識を学んでもらいます。
ベンダー・メーカーの営業マンは、チラシと非常に密接な関係を持っています。しかし、チラシそのものについての知識はまったく身につけていないのが現状です。
これでは営業マン失格です。
バイヤーに対して効果的な営業を仕掛け、また、自分自身の作業を効率的に処理するためにもチラシの基本知識を身に付けて下さい。

① チラシのサイズ

チラシのサイズは「B版」です。B版は日本固有のサイズです。長い間、公官庁の書類がB版であったため、日本ではB版が主流でした。
数年前、公官庁が国際化の流れの中で書類をA版に変更し、その後ビジネス系の文書はほとんどがA版に変わりました。
しかし、チラシは依然B版です。それは、新聞がB版だからです。
チラシは別名を「折り込み」と呼ぶように、新聞に折り込まれて読者の元に届けられる訳です。 だから、新聞がなければ生きていけないのがチラシです。
よって新聞のサイズに合わせざるを得ないのです。
もっとも、最近ではA4サイズのチラシもあります。しかし、A4サイズでも折り込み料はB3サイズと同額です。
一般的には、B3(新聞2ッ折り)、B2(新聞の片面全部の大きさ)のサイズが多用されます。 オープンチラシや創業祭などでは、B1(新聞を左右に開いた時の大きさ)サイズが使われたりします。
B2以上は「折り加工」が加わり、その分コストが上がります。

② チラシの色と色数

チラシにはカラー(4色)と2色、1色の色数が使われます。
3色という刷り方もあります。色の発色は悪いのですが、一般の人にはカラー(4色)と見分けはつきません。
2色では、色の組み合わせが重要になります。各企業、自社のコーポレートカラーを意識しつつも、できるだけ読者に目立ち、気に入ってもらえる色使いを考えます。
一般に「アカ・スミ」(赤色と黒色)の様に呼ばれます。
色数が増えると、製版、印刷の工程が増え、その分コスト高になります。
又、校正時に大巾な紙面修正があった場合など、1色、2色、カラーでは修正作業に費やす手間(コスト)が大きく異なります。

③ 振り込み料

先に書いた様に、チラシは新聞に折り込まれて家庭に届きます。新聞が無かったら、チラシはただの紙クズです。
新聞に折り込んでもらうには当然、手数料を払います。
これを「折り込み料」と呼びます。
これが高い。チラシのコスト構造は複雑ですが(図⑦)、全てを含めた1枚当りの製作代と、そのチラシ1枚当りの折り込み代を比べると、折り込み代の方が高い事があります。
どうしてこんなに高いのか。それは、「折り込み料」が新聞販売店の利益源だからです。
新聞販売店は、新聞を売る(契約者に届ける)だけではほとんど利益が出ません。チラシの折り込み料でやっといくらかの利益が出る、と言われています。
それともう1つ、新聞折り込み料が高い理由。それは、チラシ折り込みを仲介する(印刷会社からチラシを受け取り、それを指定された新聞販売店に指定された枚数を届ける業務)”折り込みセンター”と呼ばれる企業に問題があるのです。
現在日本にある仲介業者のほとんどが新聞社の系列企業です。これら企業がチラシ折り込みを独占しているのです。
特に地方では完全な独占状態です(表面的にはそうはなっていなくても)。だから、折り込み料は下がらないのです。
この問題はこれ以上書きません。

④ チラシの写真

チラシの製作費の中で、写真に関わるコストの比重はかなり大きいのです。
しかし、この事を理解していないバイヤーやチラシ担当者が多いのです。
写真のコストは撮影代(カメラマンの日当、諸経費)、フィルム代、現像代、分解代(印刷に使える様に4色に分解処理する事)、マスク代(印刷の専門用語。商品の背景などを切り抜き、商品だけが印刷される様に処理する作業)、ポジフィルムの保管・管理代に細分化されます。
最近は印刷の現場でもデジタルカメラが使われる様になり、フィルム代、分解代、フィルム保管代が不要になりつつあります。
しかし、フィルムにしても、デジタルデータにしても、それを管理するデータベースが無ければ、再利用ができません。
このデータベースは、商品マスターと同期がとれていなければ何の役にも立たないのです。
そうなっていない企業では、バイヤーは毎回、チラシに掲載する商品について「在版」(フィルムがあるかないかをこう呼びます)を確認します。確認できなければサンプルを再手配する事になってしまいます。

⑤ チラシの製作日数

小売業の中には、チラシ立上り日(スタート日)の1ヶ月も前に、原稿を締切る場合があります。
チラシを作るのに、どうしてそんなに長い期間かかるのか、疑問に思っている営業マンが多いと思います。
その通りです。チラシは、B3サイズなら出稿後、中2日もあれば印刷を完了させる事が出来ます。
ではなぜ、あんなに長くかかっているのか。

理由の第1は、原稿が不完全だからです。必要な文字情報が抜けたり、誤ちがあったりします。 したがって、リライト時、及び製作会社の原稿整理作業で、原稿の文字1字1句を全てチェックする事になるのです。大変な手間がかかります。

第2は、写真の指定に不備が多い事です。写真の誤りはチラシにとって致命傷です(場合によっては印刷し直しです)。
バイヤーのフィルム指定にわずかでも不明があれば、再度全てをチェックするか、商品サンプルを取り寄せて撮影しなおします。

第3は、校正が多い事です。先に解説した通り、校正とは言っても本当の校正ではなく、企画の変更だったり、商品変更だったり、売価の変更だったり、です。

ダメな企業程に校正の回数が増えます。初校、再校、念校(念を入れる校正、という意味でこう呼びます)と校正を3回もやったりしています。
中には、”念念校”などと言う笑い話の様な校正をしている企業もあります。
チラシの製作期間が長くなる理由のトップ3悪は以上です。
しかも製作会社は万一の事を考え、工数を多めに申告するので、1ヶ月前に原稿締め切り、などという事になってしまうのです。

チラシの基本知識として理解しておくべき項目はまだまだあるのですが、この位で切り上げて、肝心のバイヤー業務の解説に移ります。

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8. バイヤーのチラシ業務

この章では、バイヤーのチラシ業務を解説します。
バイヤーのチラシ業務は2つに分かれます。

チラシ企画に関わる業務
1本毎のチラシ製作に関わる業務

① チラシ企画に関わる業務

先ず初めにチラシ企画に関わる業務を解説します。
チラシの企画は、先に説明した通り販促部が担当している企業が大半です。
しかし、販促部が担当する、とは言っても、販促部には自分達だけで企画を立案できる程の能力はありません。そこで、バイヤーに相談や依頼する事になります。
販促部と商品部及び販売部の関係は企業によって異なると既に説明しました。
関係がどうであれ、企画立案に際しての役割分担、意思決定の手順において、バイヤーが関わる事だけはまちがいありません。
関わり方には次の様なタイプがあります。

・チラシ企画会議が定期的に開催される。
この場合、バイヤーはその会議の場で自分の考えを主張する事になります。
・販促部が立案した企画書が回って来る。
この場合は、その企画書に個々のバイヤーが直接意見を言います。
・商品部が企画のタタキ台を作って販促部に提出する。
この場合、商品部案を作る段階でバイヤーは意見を出します。

以上、3タイプを説明しました。
しかし、いずれのタイプでも、商品部と販促部のやりとりが一方通行の様に単純になる事はありません。
意見交換が頻繁にくり返されるのです。
具体的な方法は企業によって大きく異なります。しかし、それ以上にバイヤーによって異なるのです。
積極性のあるバイヤーとそうでないバイヤー。販促部と上手にやり合うバイヤーと、そうでないバイヤー。事前に企画の準備をするバイヤーと、そうでないバイヤー。
次にバイヤーのチラシ企画の立てかたを解説します。
バイヤーはチラシの企画を組む時、どんな方法、手順で考えを進めるのでしょう。 バイヤーによって様々ですが、最大公約数的にまとめると次の様になります。

1. 自社の過去、最近のチラシを参考にする
2. 競合他社、全国の有力企業のチラシを参考にする
3. 自社のシーズンプロモMDをベースに考える
4. ベンダー・メーカーの提案書を参考にする
5. 新聞や雑誌の商品情報、ヒット情報を参考にする
6. 自社及び公開されているPOSデータを参考にする

これらを参考にするのですが、結局最後は主観的な判断が強く働きます。
つまり、バイヤーのチラシ企画は様々な資料、データを参考にするものの、最後は自分の考えを通している、と言う事です。
こう言えば聞こえは良いのですが、実のところ、”エイッ!ヤァー!”の世界だと言う事です。 こうなるには訳があります。
バイヤーの企画の内容がその程度だと言う事は、上司も、販促部もわかっているのです。 しかし、彼らもまた確たるデータ、資料を持っていないので、バイヤーの企画にまっ正面から反論したり、意見を言えないのです。
代案を出せないから、一応もっともらしい意見を出した上で、そのまま決裁してしまうのです。 チラシ企画がこの様にして決まる、という事をベンダー・メーカーの営業マンはしっかり把握しておくべきです。
一見チラシ企画は販促部主導で決められている様ですが、そうではないのです。 やはりバイヤーの意見は強いのです。

② チラシ製作に関わる業務

チラシ1本毎の製作に関わる業務には、次の9項目があります。

1. チラシ原稿作成
「チラシ原稿」と言っても、商品名やサイズを記入するだけではありません。
他に様々な情報を記入します。(図⑬)

 

図⑬

2. チラシ商品のサンプル手配(撮影用)

3. チラシ売上計画書
・本部発注の場合、バイヤーが数量を決定します。
・しかし、そのためには当該商品の店舗在庫、及び店舗の希望数量を調べ、集計しなければなりません。

4. 商品手配
・本部発注の場合、バイヤーが数量を決定します。
・しかし、そのためには当該商品の店舗在庫、及び店舗の希望数量を調べ、集計しなければなりません。

5. POP手配
・前に説明した通り、チラシPOPを定型フォームで処理している場合はこの作業は必要ありません。
・しかし、POP効果を高めようとすると、商品毎にPOPの内容を考える必要があります。サイズについても同じです。

6. 校正
・バイヤーにとって校正は、自分の提出した原稿通りに「文字組」が仕上がっているかどうかをチェックする事です。
・しかし、現実には、校正は次の様な役割を持っています。
・文字情報の誤り、ヌケ、不足を校正紙上で発見する。
・チラシ売価の妥当性を紙面上で改めて検討する(紙面全体が見えるので判断しやすい)。
・写真のまちがい、不具合を発見する。

7. チラシスタート後の状況把握と対策
・前にも説明した通り、この項目は営業部全体でもできていません。
・当然、バイヤーもできていません。やっていません。
・多くの企業では店舗でのチラシの状況を把握したくても、必要な販売データがバイヤーの所に届きません。
・届いたとしても、チラシ終了後数日経ってからです。
・バイヤーがリアルタイムで状況を把握しようとすれば、店舗に直接電話するしかないのです。

8. 残品処理
・チラシリストを作成する段階で、残品の処理は指示してあります。
・しかし、チラシ終了後、改めて全店の残品状況を確認し、必要な指示を出します。

9. 実績レポート
・数値データにもとづき実績を分析し、レポートを作成し、上司に報告します。
・店舗売場担当者の意見、レポートを添付する場合もあります。

以上のバイヤーのチラシ業務は、箇条書きにして整理すると、とても簡単で、トラブルなど発生するとは思えないのです。しかし、現実にはバイヤーはチラシ業務にかかりきりです。しかもトラブルが多く発生しているのです。

その理由は次の様に考えられます。

1. チラシの各業務の定型化、標準化ができていない。したがって、各バイヤーがその都度考えたり、自分なりに工夫したりするケースが多い。
2. 上司の誰もがハッキリ結論を出さない。その結果、バイヤーはいつまでも考え続ける事を余儀無くされる。
3. 同時に数本のチラシ作業が進行している。したがって、バイヤーは各号の内容を常に照合しながらでないと、作業を進める事ができない。
4. チラシ作業は、多くの資料、データを参照する必要がある。バイヤーは、あれやこれやと資料を探し回る事になり、その作業に大変な時間を費やす事になる。

以上、バイヤーのチラシ業務を解説しました。
ここまで6章、7章、8章では販促業務のうち、チラシに関わる内容を解説してきました。次にプロモMDについて解説します。

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9. プロモMD

この章ではプロモMDについて解説します。

① プロモMDとは

この「プロモMD」という名称は私が付けた名称で、一般には「重点企画」、「企画特売」など様々な名前がつけられています。
名称はどうでもいいのです。
プロモMDを定義づけると次の様になります。
・定番と異なる販売形態の総称
・販売形態とは、陳列する場所(フリースペース)、販売価格(定番より安くする事が多い)、販売期間(限定される)、仕入(定番とは異なる条件の時が多い)の事です。

② プロモMDが必要な訳

小売業の品揃えには「定番MD」と「プロモMD」が必要です。
この両者の中間的な性格を持つ”季節定番”というべきグループがありますが説明をわかりやすくするため、季節定番はプロモMDに入れて考えます。

1) 定番MDの不備を補う役割
定番だけで売場を構成したらどうなるか。その答えがプロモMDです。

52週の生活に対応し切れない
売場が陳腐化する
新商品の導入が遅くれる
定番外の商品への対応ができない

プロモMDの役割は業態によって異なります。食品はプロモMDの比率が少なく、ノンフーズは非常に高い、と言えます。
衣料は定番と言う考え方が存在しにくい分野ですから、売場全体がプロモMDです。

2) 作業上の役割
もう1つプロモMDが必要になる理由があります。それは作業上の理由です。
仮に毎日、毎週、定番売場を最適化する事ができたら、プロモMDはいらないのです。
作業上、それができないから、プロモMDが必要になるのです。

③ プロモMDの効果

プロモMDの効果を箇条書きすると次の様になります。
季節品が、その季節(週)になると必ず導入され、しかも週が変わる(季節が変わる)毎に売場が変化する。
新商品が発表されたらすぐにスペースをとってテスト販売をする事ができる。
定番売場の”くくり”を随時変化させ、客に新鮮さを訴求する事ができる。

しかし、この様な効果を出すためには、定番売場全体とまでいかないとしても、かなり広範囲な売場を組み替えなくてはなりません(その理由は第4回セミナーで解説してあります)。
プロモMDの運用が確立している企業では、この問題が解決しているのです。
売場の中にプロモMDのスペースが確保されているのです。
このスペースで季節商品や新商品を展開した方が効果も大きく、作業が大巾に削減されるのです。

④ プロモMDの基礎知識

バイヤーのプロモMD業務を解説する前に、プロモMDの基礎知識を学んでもらいます。

1)プロモMDの3区分
プロモMDはMDの性格上次の3つに区分して考えます。

季節プロモ
企画・催事プロモ
お買得プロモ

季節プロモは、ある季節、ある時の生活に対応したプロモです。
例.冬期―ナベ料理。晩秋―漬物。七五三―ちまき。

企画・催事プロモは、文字通りの企画モノです。メーカーとのタイアップフェア、産直フェアなどです。
例.○○メーカー製品オール30%引フェア、地元JA○○協賛、朝採り野菜新鮮市、有田焼窯元直送大陶磁器市。

お買得プロモとは、年間を通じて実施する、お買得販促です。EDLPの事です。
このお買得プロモは、プロモMDスペースで展開するとは限らず、定番ゴンドラのベースや、下段棚で展開する場合もあります。

2)プロモMDの運営
小売企業でのバイヤーの仕事及び店舗の仕事は、定番、チラシ、プロモ、この3つの業務を中心に回っています。
このうち、最もアイテム数、スペース数があるのは定番です。
しかし、定番の運営は簡単です(ホントは簡単ではないのですが、ここでは一応簡単な事にしておきます)。
チラシ業務は期間が短かく、1つ1つの仕事に締切があるので一見大変そうですが、実はたいした事ありません。同じ事の繰り返しだからです。
プロモ業務は運営が複雑で、しかも1つ1つのプロモテーマによって運営方法が異なるので、非常に難しく、高度な技術が必要です。

3)プロモ展開グラフ
プロモ運営が難しい最大の理由は、52週毎に状況(プロモ展開)が変わるからです。
1ヶ月毎、つまり12回で変化させればずっと簡単になるのですが、それでは「52週プロモMD」の意味は無くなり、効果も半減します。
52週毎に変化させるプロモMDの全体を把握するためのツールが「プロモ展開グラフ」です。
タテ軸にプロモテーマを、横軸に52週をとったチャートグラフです。
このグラフを縦軸方向に読む事によって、例えば、第38週には、売場全体でどんなプロモMDが展開されているか、を知る事ができます。
ヨコ軸を見る事によって、あるテーマの展開期間及び展開サイクル(導入―拡大―最大-縮小―撤退)を知る事ができます。

4)プロモ企画書
先にプロモMDは運用が複雑だ、と説明しました。
それらプロモMDの運営に必要な様々な指示や説明をまとめたものが「プロモ企画書」です。
キチンとした書式になっていなくても、この企画書(単にリストと呼んだりします)は必ず作成されます。
しかし、バイヤーにとって、この企画書を作るのは大変手間のかかる作業なのです。

5)プロモMDレイアウト
定番MDと違いプロモMDには、予め定まったレイアウトがありません。
一応プロモMD用のスペースは決っています。しかし、どこの位置に、どのテーマをどれだけのスペースで展開するか。
それはその都度(毎週)決めなければなりません。
バイヤー及び本部は標準レイアウトを作成します。この標準レイアウトを元に店毎に実際のレイアウトを検討するのです。

⑤ バイヤーのプロモMD業務

バイヤーのプロモMD業務は大きく2つに分けられます。

1. 年間(52週)のプロモMD展開企画
2. テーマ毎の「プロモMD企画書」を作る

この2つです。

どこかで聞いた内容だと思いませんか。そうです。チラシの業務と同じです。
それもそのはず、チラシはプロモMDの仲間です。プロモMDを中心に定番の一部を加え構成するのがチラシMDです。
したがって、プロモMD業務とチラシ業務は内容が似ているのです。
それでは、プロモMDの業務を解説します。

1) プロモ展開グラフ
バイヤーにとって、プロモ展開グラフを作る、とは、プロモMDの構成を考える、という事です。
プロモMD構成については、既に説明しましたが、改めて内容を解説します。

・プロモMDテーマの選択と構成
・テーマ毎の展開期間
・各テーマの展開サイクル(導入→拡大 →最大→縮小→撤去)

プロモMD校正を考える場合、この3点を検討する事になります。

グラフ作成に先立ち、「基本カレンダー」を作成します。
「基本カレンダー」は一般のカレンダーと同じ月・日、曜日の部分と社内の基本情報、それに「生活カレンダー」から構成されています(図14-1、14-2、14-3)。この基本カレンダーで特に重要なのが、生活カレンダーです。
どんな業態であれ、客の”生活”に基づいたMDを考えるのが基本中の基本です。 したがって、バイヤーはこの生活カレンダーの内容を十分考慮しながら、プロモMDのテーマを選択していく事になります。
「基本カレンダー」は販促部が作成し、各バイヤーに配布する企業が多いようです。 販促部が作成しない企業では、バイヤーが自分で作らねばなりません。

図14-1

図14-2

図14-3

● プロモMDテーマ構成時のポイント
バイヤーはプロモMD構成を検討する時、次の項目を参考にします。

昨年同時期のMDテーマ実績
昨年同時期のチラシMD
昨年同時期の他社プロモMD
ベンダー・メーカーからの企画提案書
新聞・雑誌等のMD情報

これも、チラシMDの時と同じです。
尚、企業によっては、「プロモMDテーマ集」が作られている場合もあります。 このテーマ集には、プロモテーマが一覧表示され、通常年での展開期間(週表示)や展開サイクルが記入されています。
このテーマ集を見ながら昨年のテーマ毎の販売実績をチェックすれば、今年度に展開すべきテーマの検討は容易で、展開グラフは簡単に組み上げる事ができます。
テーマ構成時に一番苦心するのは、売場スペースと導入テーマ数のバランスです。
バイヤーは1つでも多くのテーマを導入したがります。多ければ多い程に売上が確保でーきるからです。
しかし、バイヤーは、他部門への配慮とか売場全体のバランスとか、売場効率の事はあまり考えません。
全部門のバランス調整は、上司である課長や、商品部長の役目です。

● 店舗運営部との調整
プロモMDのテーマ構成について、商品部案がまとまると、店舗運営部と合同会議を開き、内容を検討します。
店舗運営部からは、テーマ毎に選択の是否、内容について突っ込んだ意見が出されます。しかし、一番議論されるのは、やはりスペースの割り振りです。

2) テーマ毎の「企画書」作成業務
テーマ毎の「プロモMD企画書」の内容は、企業によって内容が大きく異なります。
ここでは、一般的な項目を紹介しておきます。

a. 品揃え
b. 価格政策
c. 昨年実績
d. マーケット分析
e. 展開サイクル
f. スケジュール
g. 展開パターンとレイアウト
h. 棚割と什器

 

図⑬

「プロモMD企画書」を作るのが、なぜ大変なのか解説しておきます。

1. 非常に多くの資料、データを参照するがそれらの資料、データを探し出して、整理するのが大変。最近では「データ・ウェア・ハウス」に加入している企業も増えているが、使いものにならない。
2. システムの使い勝手が悪い。
各種マスターの同期がとれていない事が多く、転記や再入力が発生している。
3. バイヤーには文章力が無い。
頭ではまとまっているのだが、その事を文章で上手に表現できない、というバイヤーが多い。

「プロモMD企画書」のポイントを上げておきます。

・企画の全体、全業務が理解できること。かつ時系列で把握できること。
・MD特性を把握するためのデータが網羅されていること。
・売場管理に必要な情報が全て網羅されていること。
・現場作業を考慮した、使いやすい設計にしていること。

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10. バイヤーの店頭販促業務

日本の流通業では「店頭販促」が販促のなかで最も遅くれている、と私は考えています。
それには様々な理由が考えられますが、最大の理由は、店頭販促の分野は学問的研究が遅くれ、効果を証明する事ができない、という事でしょう。
感覚的には、誰もが店頭販促の重要性は理解できます。
しかし、ある店頭販促をしかけたとして、それがいったいどれだけの売上増に結び付くのか、それを証明できる人は、ほとんどいないのです。
したがって、どの企業でも店頭販促の強化には及び腰になってしまうのです。
経営側がこんな状態ですから、バイヤーの意識が低いのも当然です。
バイヤーにとって店頭販促は他人事、片手間の業務でしかないのです。
時々、幹部が思い出したように”POPが少ない!”と叫んだ時だけ、重い腰を上げるのです。
それとて、簡単なPOPを数多く作るだけです。員数合わせでしかないのです。
幹部自身、POPの内容をチェックする事すらできないので、見せかけのPOPでも社内的には通用してしまうのです。

と言うのが店頭販促の実態です。
この実態を踏まえた上で、ベンダー・メーカーとしてどう対応するのか検討するべきです。 考え方は2通りあると思います。

・企業トップもバイヤーもあまり関心が無いのなら、積極的な提案をしても意味無いだろう、との考え。
・非常に遅くれている分野で、しかも効果を出すのが難しい案件だからこそ、積極的にアプローチするべきだ、との考え。

これ以上、私が踏み込んで発言するのは控えます。
しかし、小売業側が腰が引けているのと同じく、ベンダー・メーカーの姿勢も中途半端である、という事は指摘しておきます。
だから、コストをかけている割には効果が上がっていないのです。効果とは2つの側面で考えています。

1. 売上増効果が無い
2. 相手企業に喜ばれていない

とくに、2の問題が大きいのです。
バイヤーは喜んでいるが、売場担当者はまったく無視する様な「販促ボード」を大量に製作して、それを自画自賛している様な例が多いのです。

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11. マーケットリサーチ

マーケット(市場)を知る。
小売業にとって、これほどに基本中の基本にして、重要な業務は他にない、と考えます。
しかし、現実にはまったく実施されていないのがマーケットリサーチです。
多くの小売企業にとって、マーケットリサーチは、新店や全店リニューアルの時に行なわれる儀式の様なもの。
あっても無くても良いが、あるとなんとなく権威づけができる、といった存在でしかないのです。 これは、経営トップからバイヤー、店長、売場担当者に至るまで同じです。

・現状の日本の小売業は、客の顔が見えず
・客のフトコロを知らず
・客の生活を知らず

こんな状態で”商い”をしているのです。
バイヤーの品揃えも同じです。
ベンダー・メーカーが売り込んで来る商品を、いいかげんな、こじつけの理由をつけてアソートし、各ベンダー、各メーカーのバランスを考えて構成しているだけなのです。
“品揃え”ではなく”品並べ”と私は評しています。そこにはバイヤーの意志、考えがないのです。

● なぜマーケットリサーチが行なわれないのか。
小売業側にも言い訳はあります。

1. MDに役立つマーケットリサーチの理論、技術が開発されていない。
2. 基本データの所在がわからない。

この2点です。
第1の点は、ベンダー・メーカーには納得がいかないかもしれません。
マーケットリサーチの理論、技術はマーケティングの基本であり、古くから研究、開発されているではないか、と反論するでしょう。
そこが問題です。たしかに、マーケットリサーチの理論、技術は確立しています。しかし、それらはあまりにも学問的なのです。
もっと言えば、研究室でしか通用しない、理論、技術なのです。
仮に実務に役立つ理論、技術があったとしても、それを読解して自社の業務に取り込むには、相当な能力が必要になります。
もちろん、小売側はもっともっとマーケティングの勉強をするべきなのですが。
つまり、現状では、学術研究の場と、小売の現場、この両者の橋渡しする、翻訳をする人が必要なのです。しかし、その人がいないのです。

第2の点を解説します。
世の中には、膨大な種類、量の調査データがあります。しかし、それらのデータは小売企業がMD分析に利用しようとする時、重大な欠点があるのです。

・汎用性を前提にしている。
・ある限定課題に対するデータである。

この2つです。
両者はまったく反対の性格です。
と言う事は、現状のデータは”帯に短し襷に長し”の状態だ、と言う事です。
「国勢調査」は、国が行う調査の基本となるものです。当然、この調査を元にして、第2次、第3次の調査が行なえる様、”汎用性”と”精度”が重視されます。その点では、非常に有用な調査データです。
しかし、バイヤーが自分の部門のMDを検討する、という立場で国勢調査データを見ても、実のところほとんど役に立たないのです。
朝日新聞社の『民力』になると、具体的な項目が増え、一見役立ちそうに見えるのですが、やはり理論の域を出ないのです。
一方MDに役立つデータは、所在がわかりにくい、入手しにくい、というのが現実です。 私の手元に「動物愛護に関する世論調査」という総理府内閣総理大臣官房広報室の行った世論調査報告書(平成12年6月調査)があります。

ペットに関する調査は、ペットフードメーカー等が数多く行っています。しかし、それらは客観性の点で利用するのを躊躇します。
その点、この調査は”お墨つき”です。内容もMDに役立つ情報がたくさんあります。
しかし、この調査資料を入手するには、霞ヶ関の総理府まで足を運ばなければなりません。身分証明書を提示し、利用目的を記入して申し込むのです。それでやっとコピーしてもらえるのです。 私の手元には原本がありますが、これは、スタッフが頭を下げ、懇願してやっといただいた”貴重品”です。
この例の様に、MDに役立つデータは、入手が非常に難しいのです。
それより、一般のバイヤーには、データの所在すらわからないのです。
その点、ベンダー・メーカーなら、どこにどんなデータがあるかを把握するのは、そんなに難しい事ではありません。
たいていの業界には組合、協会があって、そこの事務局に問い合わせをすれば、簡単に調べてくれるはずです。
ベンダー・メーカーの営業マンは、自社のデータ収集能力をもっと活用するべきなのです。
つまり、どこにどんなデータが存在するのか調査し、リストにしておくべきです。
その上で、それらの資料を定期的に収集して下さい。
収集したデータをそのままコピーしてバイヤーに渡したのでは、何の営業効果も上がりません。 バイヤーの役にも立ちません。
そのデータを2次加工して、MDに役立つ形に組み替える、データを補足して利用しやすくする、これが大切です。
最後に、データを探すのに便利な本を紹介しておきます。『統計情報インデックス』(総務省統計局)です。

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12. あとがき

今回のセミナーは、マーケティングがテーマでした。

しかし、文中で解説した通り、現在の日本の多くの小売業は体系的なマーケティング活動を行っていません。
そのため、セミナーの内容が販促に片寄ったものになりました。しかも、大半はチラシの解説になってしまいました。
このセミナーがバイヤーの仕事、小売業の実態を理解していただく事を目的としている以上、やむを得ない事だと考えます。

それでは、次回をお楽しみに。

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