MD-ing講座1

MD-ingとは

さて、第一回目は、”MD-ing”です。
マーチャンダイジング(Merchandising)の日本語訳は、商品計画とか商品政策と言われています。
米国AMA(アメリカ・マーケティング協会)の定義では、マーチャンダイジングとは、「企業のマーケティング目標を実現するために最も役立つように、(1)特定の商品またはサービスを、(2)適正な場所、(3)時期、(4)価格、(5)数量で、市場に流す事に伴う計画と統制をすること。」となっています。この定義によれば、マーチャンダイジングは小売業のマーケティングの枠組みの中で、目標つまりは企業経営の目標を実現するための具体的手段としてのマーチャンダイジングの位置付けを明らかにするものであり、商品、場所、時期、価格、数量の5つをいかに”適正”に計画・統制するかということになります。5つの適正については、下記の表を参照して下さい。
では、小売業のマーケティング目標とは何でしょうか。
それは、(1)商圏内の顧客ターゲットを決め、(2)売上目標を決め、(3)利益目標を決め、(4)商圏内市場シェアを高める事です。
次に、具体的手段についてみてみましょう。
これは、マーチャンダイジング・サイクルと言われているもので、(1)商品計画に始まり、(2)その計画に基づいて仕入が実施され、(3)その後商品が納品されると商品の受容と検収を行い、(4)仕訳と値付けがされ、(5)在庫管理がされ、(6)売り場への品出し・陳列を経て、(7)販売活動が実施され、(8)売上が登録され、(9)その結果を評価・分析して次の商品計画に繋げていくという一連の流れをとります。この構造は、(1)市場調査に基づく商品計画の部分(2)商品の仕入・調達の部分、(3)在庫維持・管理の部分、(4)販売・利益管理部分の4つの基本業務からなり立っているわけです。
最後に、マーチャンダイジング戦略を立てるに当って様々な情報が必要になります。1つは内部情報、2つは外部情報です。
(1)内部情報
総売上高・部門別売上高・売り場別売上高・商品別売上高・商圏別売上高
価格帯別売上高・仕入先別売上高など。
(2)外部情報
景気動向・消費者動向・商圏内情報・競合情報・ファッション情報・商品情報など。

5つの適正 意味 ポイント 販売関係 仕入関係 必要なデータ
適正な商品 消費者の利益・必要・要求を満足させる商品・サービス 商品の安全性 ●限定品種/多品種
●上級品/中級品/下級品
●デザイン/色/型スタイル/材質
●新製品
仕入強化
仕入差し控える
社内記録
実態調査
POSデータ
新聞・雑誌
適正な場所 消費者が商品を購入・使用・保管したいと思う場所 消費者が商品を購入・使用・保管する場所に適した商品・包装形態 ●店頭/店の奥か
●見通しのきく場所か
●商品の置かれる高さ
●本・支店どちらか
仕入先の選定
●取扱商品
●店の信用
●取引条件
●自店に対する態度
●商品企画力
社内記録
実態調査
適正な時期 消費者の購入・試用期間 使用期間中十分に商品が使用可能な状態を維持する補修部品の確保 ●春夏秋冬に影響されるか
●売れる時期
●売れない時期
●特定の記念日に影響されるか
仕入の時期
販売動向にあった仕入
社内記録による変動パターンの把握?
流行品・新製品の社外情報
適正な価格 消費者にとって支払いのできる価格 質に見合った価格 ●プライスラインの決定
●低価格か高価格か
仕入価格
取引条件
当用買か大量仕入か
社内情報
同業者情報
適正な数量 消費者にとって購入しやすい・使用しやすい数量 購入しやすい単位 1回の使用量に見合った数量区分 ●購入の仕方は規則的か不規則か
●購入頻度は大か小か
●1回の購入数量は大か小か
共同仕入か
単独仕入か
集中仕入か
社内情報

(1997/04/09)