2.売上増加手段の為のセールスプロモーション(エンド陳列)の効果 研究員 上田雅夫氏

売上の増加手段としてのセールスプロモーション

カテゴリーマネジメント導入の目的は、収益の改善と向上である。
その為、如何に合理的に売り場をコントロールするかが重要となる。

売上の増加させるための売り場コントロールとして、特売、エンド陳列、POP、デモンストレーション販売、プレミアム販売などのセールスプロモーションがある。
これらのプロモーションを行うと売上の増加は見られるが、合理的に売り場をコントロールする為には、消費者の店内における行動と十分に把握し、カテゴリーの特性を理解して行う必要がある。

カテゴリーの管理者は商品の売上を増加させる為、これらセールスプロモーションの特徴を把握する必要がある。

エンド陳列の効果とその目的

セールスプロモーションの中で広く一般的なのがエンド陳列であろう。
エンド陳列の役割には①演出、②注目、③伝達、④衝動という4つの働きがある。

エンド陳列により売上が伸びるのは、これら4つの役割が複合的に働き、来店者に商品を認知させ、購買を促し、まとめ買いや衝動買いにつながるからである。

消費者はなにを購買するか事前に決めているのではなく、店内において購買意思を決定している事が多い(田島・青木(1989)「店頭研究と消費者の行動分析」 誠分堂新光社)。その為、店内において消費者に商品を効果的に認知させることが出来れば、売上の増加は見込まれる。

エンド陳列を組む際は棚割と同じで、消費者が商品を認知しやすいように組むのが大切である。

エンド陳列時の注意点

エンド陳列に効果があるのは先に述べた通り、消費者に商品が認知されて、購買意欲が湧くからである。更に効果的に消費者に認知してもらう為には幾つかの注意点に気をつけてエンド陳列を行う必要がある。

注意点としては、①日数、②カテゴリー、③同時陳列するアイテム及びカテゴリーの三点を挙げることが出来る。エンド陳列を行うことにより露出度が高まり売上点数の向上は見られるが、ある程度の期間を行うとその効果は薄れてくる。

その効果の逓減の度合いは、カテゴリーにより異なり、月間特売として長期にエンド陳列を組む際はカテゴリーの選択に留意する必要がある。

(財)流通経済研究所の分析によると、全てのカテゴリーが有するエンド陳列の売上に対する効果は一様でなく(図表参照)、その為、エンド陳列を実施する場合には当該カテゴリー のエンド陳列の効果を検討する必要がある。

注)全カテゴリーのエンド陳列による売上の効果を算出し、その平均と比較し、平均よりも効果の高いものを「大」、低いものを「小」としている。

 

エンド陳列を組む際、単品で組むよりも複数のアイテム・カテゴリーでエンド陳列を構成した方が良く、1つのエンド陳列を構成するアイテム、カテゴリーは消費者の記憶にある使用・目的状況に合致することが望ましい。
その例として、パスタとパスタソースの組み合わせによるエンド陳列などが挙げられる。

エンド陳列時の価格設定

通常、エンド陳列を行う際は特売(値引きプロモーション)と併用して実施されることが多い。
エンド陳列をして、価格も下げれば売上は見込めるが、下げた分だけ購買点数が伸びるとは限らない。その為にも購買点数と価格の関係を把握し、客観的なデータによる価格決定をする必要がある。実際は売上点数の増加が見られない値引きも行われていることも見受けられる。
このようなことは小売業の利益を圧迫する1つの要因であり慎むべきであろう。