3.売上増加手段の為のセールスプロモーションの効果(2)   研究員 上田雅夫 氏

エンド陳列以外のセールスプロモーション

カテゴリーマネジメントを行い、売上を向上させるにはセールスプロモーションが重要である。

前回報告では、数あるセールスプロモーションの中でも最も一般的なエンド陳列についてまとめたが、今回は、エンド陳列以外のプロモーションの効果について論じたい。

チラシの効果とその目的

チラシは、セールスプロモーションのなかでもエンド陳列と同じくらい高頻度に行われているプロモーションである。

その目的としては、消費者にお買い得商品を認知させ来店を促し、売上点数の増加に結びつけるというものだが、実際、チラシには来店を促す効果はあっても(※1)、消費者がチラシを見て購買を決定したという確率は低い(※2)。

品目別に見ると、インスタントコーヒーや洗剤など比較的単価が高く、購買頻度の低い商品に限られる。
チラシを効果的な手法として活用する為には以下の様な工夫が必要である。

(1)テーマ性を持たせ、関連購入を促進させる
(2)エンド陳列と連動した商品構成をとる
(3)写真を使い、特に目玉商品を大きく扱う

クーポンの効果

対象商品を券面の金額分だけ値引きするプロモーションであり、通常の値引きとは異なり、対象商品のブランドイメージを傷つけることもなく、商品の買いだめ防止、更にはブランドロイヤルティ・ストアロイヤルティを向上させるなど、小売業、メーカー双方にメリットがある。

将来的に小売業にFSPが普及し、顧客の購買履歴に応じてクーポンが発行できるようになれば、クーポンの利用は益々盛んになると思われる。

デモ販(デモンストレーション販売)の効果

デモ販は消費者に直接効用を働きかけることが出来るので、売上増加に及ぼす効果は大きい。

新製品導入時の試し買いや新しい提案に結びつく関連購買にも効果がある。

図表にもある通り値引きをしなくても著しく売上を伸ばすことも可能である。ただし、反復購買に結びつく確率が低い。その為、デモ販時に通常商品を販売している位置を来店者に教示し、消費者に商品位置を覚えてもらう必要がある。また実施期間についても注意をする必要がある。

(財)流通経済研究所の分析では、消費者は同じ商品の2回目以降のデモ販売には反応しない傾向にあると報じている。

 

プレミアム販売の効果

いわゆる「おまけ」のことである。
商品を購買したときにその商品のほかに特典(おまけ・プレミアム)を手に入れることが出来るという仕組みで購買を誘発するプロモーションである。

その効果としては新規ユーザーの獲得よりはむしろロイヤルユーザーの維持が主である。

比較的高価な商品や市場における順位が高い商品はプレミアムの効果が高い。ただし、応募後、抽選による選別が行われる場合は、抽選から外れた人のロイヤルティが下がるという報告もある(※3)。

サンプリング

消費者に実際にサンプル(試供品)を提供する手法で、メーカー主導のヘビープロモーションである。

消費者は実際に商品を使用して評価を行う為、ブランドに対する選好度が高まり初回購買につながる。その為、広範囲にサンプルを配布することは新製品を短期間に市場に浸透させることが可能となる。

参考文献

※1 清水 聡(1995):「チラシ広告の店舗選択に与える影響」『日経広告研究所法』159号 P75-P84
※2 田島義博・青木幸弘(1989):「店頭研究と消費者の行動分析」成分堂新光社 P312
※3 小川孔輔・ミラー前野和子・野沢誠治(1999):「ブランドエクイティと景品付きセールスプロモーション」『日経広告研究所法』184号 P7-P13

次回は、「消費者の『買い方』」です。