MD-ing講座42
カテゴリー・マネジメントについて11
今回は、カテゴリー・マネジメントの最終章です。
メーカー、卸、小売りがカテゴリー・マネジメントを実施するに当たり、それぞれがどんな機能を担うかについて、確認したいと思います。それぞれに、どんな機能が有り、どう担うか。これがうまく行くと、無駄なコストもかからず、互いにウイン・ウインの関係が築け、効果・効率的なカテゴリー・マネジメントが実現します。 以下のチェック項目を確認して下さい。
注:RSS・・・・リテール・サポート・システム
プレルーム・・・・プレゼンテーション・ルーム
先ず、それぞれが、どんな機能を持っているのか、何が担えるのかを確認し、どこからどこまでを誰が担うのか、その場合のコストはどのくらい掛かり、誰がどこまで負担するのかなどを明確にする事が重要です。一番まずいのは、なんとなくスタートすることです。誰が何をし、コスト負担はどうするのなどが決まっていないため、途中で「こんな筈ではなかった」と、互いに言いたい事を言い張ったり。結局卸、メーカーの持ち出しで終わったり、うまく行かない事が多いのです。 機能分担でみると、商圏理解を基本に、
1. 小売機能
a) 集客努力
b) MD-ing政策開示
c) POSデータ開示
d) 販売計画開示
e) 販促計画開示
2. 卸機能
a) 品揃力
b) 商圏情報開示
c) SCM機能
d) 販促企画提案
e) 棚割企画提案
3. メーカー機能
a) 新商品開発力・提案力
b) 市場情報開示
c) 販促企画提案
d) 棚割企画提案
e) データ分析
4. 3社共通のカテゴリーの年間販売計画立案項目
a) チェーンの経営方針
b) チェーンの商圏・商勢圏政策
c) チェーンのMD-ing政策
d) カテゴリーの粗利MIXの考え方
e) カテゴリーの販売促進政策
f) カテゴリーの価格政策
g) カテゴリーの棚割政策
h) カテゴリーの売上目標
i) カテゴリーの粗利益目標
j) カテゴリーの値引き・値下げ目標
k) カテゴリーの在庫目標
l) カテゴリーの回転率目標
m) カテゴリーの交差比率目標
n) カテゴリーの貢献比率目標
o) カテゴリーのロジスティクス機能
などが有ります。これらの機能を、どう役割分担して行くかが、カテゴリー・マネジメントを成功させるポイントになります。
MD-ing講座41
カテゴリー・マネジメントについて10
今回は、カテゴリー・マネジメント提案時の対応について考えてみます。
第一ステップ は、各種分析からカテゴリー・マネジメント提案に至るストーリーを作成します。
その内容の主な項目は
1. 顧客ターゲット面
2. MDコンセプト面
3. 品揃え面
4. 品揃え面
5. フェーシング面
6. ゾーニング面
7. 価格構成面
8. 販売促進面
a. テーマ
b. 実施時期
c. 企画内容
d. エンド構成
e. 頻度
f. 価格
g. メーカー数
h. ブランド数
i. 陳列手法
j. 演出手法
k. 販促ツール
9. 利益面
a. 売上
b. コスト
c. 利益
d. シェア
10. 競合店との差別面
第二ステップは、上記項目についてバイヤー・本部長等と検討会を実施し、要望点・改善点を確認し、カテゴリー・マネジメントの実行に移ります。
確認項目は、上記10のポイントです。
注:検討会は、通常の商談時ではなく、特別に時間を取るようにする事がポイントになります。
また、時間も最低2時間から3時間と十分に用意する。場所も自社の会議室、 場合によってはホテルなどを利用する。
第三ステップは、実行後の状況を把握した上で、再度バイヤー・本部長等の要望点・改善点を確認し、カテゴリー・マネジメントを再度実行します。
第四ステップは、この作業を定期的に実施し、結果をバイヤーとチェックします。
1. 1~3週間ごとに提案内容の検証実施
a. 売上金額(全体・サブカテゴリー)
b. 売上数量(全体・サブカテゴリー)
c. 粗利金額(全体・サブカテゴリー)
d. サブカテゴリーMIXによる目標粗利益率
e. PI値
f. 回転率
g. 交差比率
h. 粗利MIX
第五ステップは、カテゴリー・マネジメント導入の成果を確認するために、自社(メーカー・卸の立場)の目標に対する実績チェックです。
1. 売上金額面
a. 売上高
b. サブカテゴリー別売上高構成比
c. 売上数量
d. サブカテゴリー別売上数量構成比
2. 経費面
3. 粗利益金額・率面
4. マーケットシェア面
5. ストアカバレッジシェア面
6. インストアシェア面
a. SKUシェア
b. フェースシェア
c. ゴールデンゾーン占拠率
7. 特売面
a. 回数
b. 商品数
c. 売上金額
d. 売上数量
e. 粗利益金額・率
8. 新商品導入面
a. 店舗別導入数
9. カット商品面
a. 店舗別カット商品
上記のステップを得意先小売業と協同して、確実に踏んでいく事が、カテゴリー・マネジメントを成功に導きます。
MD-ing講座40
カテゴリー・マネジメントについて9
今回は、カテゴリー・マネジメントについての考え方を前提に、(32回から39回)棚割り提案に至るストーリーを10のステップで考えてみます。
第一ステップ : 商圏特性の整理
① 消費者動向
*当該カテゴリーの1世帯当り消費金額
*当該商品に関する商圏内状況
・各種慣習
・使用方法
・メニュー関連
② 競合店状況(一覧表)
*業態別企業数・店舗数
*店舗間比較(ハード面・ソフト面)
*店舗MD-ing比較(品揃え・価格構成)ス
第二ステップ:当該カテゴリーの市場状況の整理
① 当該カテゴリー業界の全体動向
*市場規模
*原料動向
*各メーカー動向とトピックス
*新商品動向
第三ステップ : 問題点の整理
① 顧客ターゲット面
② 品揃面
③ 価格面
④ 割り面
⑤ 販売促進面
⑥ POSデータ分析面
⑦ 実販分析面
第四ステップ : 原因の整理
① 生産動向から
② 商圏内消費特性から
③ POSデータから
*売れている・売れていない
④ 商品マスターから
*分類基準
⑤ アソシエーション手法から
*サブカテ構成・フェース数構成・メーカー構成
⑥ 価格構成から
*価格設定
⑦ プラノグラム図から
*ゾーニング設定
⑧ 販売促進から
*テーマ・タイミング・ブランド・価格
五ステップ : 評価基準の整理
① 1~3週間ごとに提案内容の検証を実施
*売上金額
・全体・サブカテゴリー
*売上数量
・ 全体・サブカテゴリー
*サブカテゴリーMIXによる目標粗利益率
*交差比率
*PI値
第六ステップ : 品揃えの方向性の整理
第七ステップ : サブカテゴリー数の整理
第八ステップ : ゾーニングの整理
第九ステップ : 価格構成の整理
第十ステップ : 提案棚割りの整理
① 棚割りコンセプト
② 総メーカー数
③ 総ブランド数
④ 総SKU数
*導入・カット
⑤ 総フェース数
⑥ プラノグラム
⑦ アソシエーション分析
⑧ ゾーニング&陳列パターン
⑨ 価格構成&利益構造
⑩ 運用体制
(2003/10/17)
MD-ing講座39
カテゴリー・マネジメントについて8
第十一は、POS分析についてです。当初バイヤーと取り決めた当該カテゴリーが、仮説通りの結果を出したかどうかを見るわけです。具体的には
①メーカー数は適切であったのか。
②ブランド数は適切であったのか。
③SKU数は適切であったのか。
④SKUごとのフェース数は適切であったのか。
⑤サブカテゴリー数と構成比のバランスは適切であったのか。
⑥商品の陳列位置は適切であったのか。
⑦商品の陳列手法は適切であったのか。
⑧価格構成は適切であったのか。 ・・・etc
以上のような項目です。分析の手順は以下の通りです。
1. カテゴリー全体をサブカテゴリー別に分け、サブカテゴリー別にデータを並べ変える。(サブカテゴリー分類は、各小売業によって様々です)
2. サブカテゴリー別に構成比を求める。
3. 構成比バランスを見る。(シンジケートデータとの比較分析)
ex. ①全国平均と比較
②当該エリア平均と比較
③全店平均と比較
④モデル店と比較
⑤競合店と比較 ・・・etc
4. サブカテゴリー別に構成比の傾向分析実施。サブカテゴリー別に12ケ月・52週の指数を求める。(最低3年以上のデータが必要)
ex. ①月別指数
②季節指数
③サブカテゴリー別構成比変動・・・etc
5. サブカテゴリー別の売上金額・売上数量・粗利額クロス分析実施。
6. サブカテゴリー別の売上金額・売上数量・粗利額クロス分析結果の傾向分析実施。
7. サブカテゴリー別にサブカテゴリー内の分析。
ex. ①上昇・下降サブカテゴリーは
②新規サブカテゴリーの状況は
③SKU数の増減傾向分析
④メーカー数の増減傾向分析
⑤ブランド数の増減傾向分析
⑥価格構成と傾向分析
⑦ABC分析と傾向分析
*売上・粗利・売上数量・回転数・スペース構成比
以上のような分析をし、次の改善策を策定し、また仮説を立て、実行していくのです。改善策のポイントは、概ね次の6項目になります。
a) 顧客ターゲットの変更
b) 品揃えの変更
c) グルーピングの変更
d) ゾーニングの変更
e) フェーシング数の変更
f) 価格構成の変更
(2003/08/19)
MD-ing講座38
カテゴリー・マネジメントについて7
第十は、店舗と店頭調査についてです。小売企業にカテゴリー・マネジメント提案をする場合、その企業のモデル店舗、あるいは競合の激しい商圏の店舗など、具体的な事例を使った提案が成功のポイントになります。店舗における当該カテゴリーの位置付けは、競合店舗と同じでは有りません。それぞれのカテゴリーには来店促進、購買量拡大、競合からの防衛、利益創造、キャッシュフロー創造、エキサイトメント、イメージ強化などカテゴリーに役割と戦略を小売業は持たせています。
この役割と戦略を理解する一つの方法が店舗店頭調査です。
以下の内容を整理し、提案小売業に対して、当該カテゴリーをどの様に位置付け、何が競合企業(店舗)との差別化になるかを十分説明しましょう。
1. 提案店・競合店のレイアウト・マグネット配置
①店舗レイアウトと主通路の設定状況
②マグネットの配置状況
③部門ゾーニングと当該カテゴリーの位置
④当該カテゴリーの棚割り状況
2. 提案店・競合店の客動線
3. 提案店・競合店の棚割り分析
①棚本数
②棚板数
③総メーカー数
④総ブランド数
⑤総SKU数
⑥総フェース数
⑦プラノグラム図
⑧陳列パターン図
⑨ゾーニング図(色分けされている状態)
*売上金額別
*粗利益額別
*サブカテゴリー別
*メーカー別
⑩アソシエーション分析
*サブカテゴリー別構成比分析表
*構成比率表(スペース・数量・金額・粗利)
*ABC分析表
*クロスABC分析表
4. 提案店・競合店の価格構成
①プライスゾーン
②プライスライン
③プライスポイント
④プライスレンジ
⑤価格構成グラフ
⑥価格帯分析表
5. 販売促進状況
①エンド催事データ
*テーマ
*実施期間
*企画内容
*エンド構成図
*メーカー名
*メーカー数
*商品名
*商品数
*商品価格
*販促ツール
*陳列パターン
②定番催事データ
*テーマ
*実施期間
*企画内容
*定番構成図
*メーカー名
*メーカー数
*商品名
*商品数
*商品価格
*販促ツール
*陳列位置
*陳列パターン
(2003/06/12)
MD-ing講座37
カテゴリー・マネジメントについて6
第九は、カテゴリー・マネジメントを実施する上で最も重要な要素であります「商圏分析」についてです。店舗を中心とした商圏内にどの様な消費者が居て、カテゴリーに対する要求は何で、どんな習慣があってなど、カテゴリー・マネジメントを成功させるポイントになります。
具体的にカテゴリー・マネジメントを提案する場合、モデルになる店舗を選定し、(1店舗の場合もあるし、商圏特性ごとに数店舗調査する場合もあります)その店舗の商圏データを収集し、当該カテゴリーの提案をすることになります。以下に主な項目を上げます。
1. 商圏内データの収集(各市区町村役場の住民課・統計課)
①人口・世帯…国勢調査・住民基本台帳
②当該商品消費金額…家計調査年報(総務庁統計局)
③県民手帳…都道府県の統計課
④都市計画図…各市町村役場
⑤商店街診断…各商工会議所
2. 調査エリア内の該当カテゴリーに関する催事・慣習を調査
①各市役所の観光課
3. 提案店・競合店周辺の環境状況(各地形・各施設・住居・など)
4. 調査エリア内の小売業総店舗数
5. 調査エリア内の小売業態別店舗構成比一覧
6. 調査エリア内の競合店状況
①提案店を地図上にプロット
②競合店を地図上にプロット
7. 提案店を中心に商圏設定し、統計データを一覧表にする
①調査エリア内の人口・世帯数
②調査エリア内の当該商品一世帯当年間消費金額
③調査エリア内の当該商品年間消費金額
*①×②
④当社にあるべき販売金額
*当社の調査エリア内販売金額÷③
*当社の調査エリア内販売金額…SCI・販売データ etc
8. 提案店・競合店の業態確認
9. 提案店・競合店の売場面積
10. 提案店・競合店の店舗全体の売上高
11. 提案店・競合店の当該カテゴリー年間売上金額・構成比
12. 提案店・競合店の開店・改装年月日
13. 提案店・競合店のレジ台数
14. 提案店・競合店のエンド数
15. 提案店・競合店の営業時間
16. 提案店・競合店の駐車・輪台数
17. 提案店・競合店の販売方法
①セルフ・対面
18. 提案店・競合店の開店時間~閉店時間
19. 提案店・競合店の休業日と休業日数
20. 提案店・競合店の平均日商
21. 提案店・競合店の一人当たり平均購入金額
22. 提案店・競合店の1日当たり平均来店客数
23. 提案店・競合店の客層(主観的な観察から)
24. 提案店・競合店のチラシ収集
①テーマ・時期・頻度・価格・メーカー数・ブランド数 etc
25. 提案店・競合店の52週販促スケジュール
26. 提案店・競合店の対象商品の帳合
27. 提案店・競合店の発注単位と配送スケジュール
28. 提案店・競合店の経営状況
①各種専門誌から
29. 提案店・競合店のオペレーション能力
①売り場の管理状況から
30. 当社実績を各店舗別にインプット
①商品別月別納入実績一覧
*商品別(SKU別)売上数量・金額・店別扱い状況一覧
②年間販売促進スケジュール別実績
*商品別(SKU別)売上数量・金額・店別扱い状況一覧
③棚割り状況
*棚本数
*棚板数
*総メーカー数
*総ブランド数
*総SKU数
*総フェース数
*プラノグラム図
*陳列パターン図
*ゾーニング図・・・etc
以上かなり詳細になりますが、相手小売業の状況を知り、そしてその商圏内の状況を確実に押さえた上でカテゴリーの生産性向上の提案をすることが、カテゴリー・マネジメントを成功させるポイントになるのです。
(2003/04/16)
MD-ing講座36
カテゴリー・マネジメントについて5
第八は、カテゴリー・マネジメントを実際に運用していく場合の必要資料について、以下説明していきます。(内容は、消費財のメーカー、卸売業の立場に限定しております。)
まず最初に必要な内容は、
Ⅰ・・・当社の企業方針と当該商品の市場状況についてです。
1. 当社の企業方針と取り組み姿勢。具体的には、商品・価格・流通・販売促進と卸売業政策・小売業政策。
2. 各関与社間(メーカー・卸売業・小売業間)による、カテゴリーの生産性向上のための役割項目の決定と役割分担の決定。
3. 当該商品の原材料の市場推移と今後の動向予測。
①国内・海外原料状況
②生産技術動向
4. 当該商品カテゴリーの基準(定義)設定とその理由。
①当社としての基準(定義)設定
5. 当該商品サブカテゴリーの基準(定義)設定とその理由。
①当社としての基準(定義)設定
6. 当該商品カテゴリー・サブカテゴリー別の市場規模と推移。
①数表・グラフ化(折れ線・構成比・棒など)
7. 当該商品カテゴリー・サブカテゴリー別メーカーシェアと推移。
①業界全体
*自社シェア=自社売上高÷市場の総売上高×100
*自社カバレッジ=自社顧客数÷総顧客数×100
②インストア内
*SKUシェア=自社SKU÷総SKU数×100
*フェイスシェア=自社フェイス数÷総フェイス数×100
③相対的シェア(特定の数社に対する自社のシェア)
*自社シェア÷特定企業のシェア×100
8. 当社含む各社メーカーの新製品情報。
①新製品一覧
*商品名・価格・容量・原料・特徴・サブカテゴリー名・発売日など
②廃盤商品一覧
9. 商品マスターの作成基準。
①当社としての分類基準
②商品分類ツリーの作成
③商品分類ツリーのサブカテゴリーごとに構成比を入れておく
10. 当社実績一覧表。
①商品別月別納入実績一覧
*商品別(SKU別)売上数量・金額・店別定番商品扱い状況一覧
②年間販売促進スケジュール別実績
*商品別(SKU別)売上数量・金額・店別販促商品扱い状況一覧
以上、当社の企業方針と当該商品の市場状況について、十分な資料を用意し、当社の当該カテゴリーに対する優位を説明できるようにしておきます。
(2003/2/14)
MD-ing講座35
カテゴリー・マネジメントについて4
第七は、カテゴリーの評価についてです。ここでは比較的身の回りにあるデータを活用し、簡単に評価出来る方法を解説します。
ポイントは、単年度ではなく、数年のトレンドで評価をする事です。時代の変化の中で、それぞれのカテゴリーの役割が変わるからです。
Ⅰ・・・カテゴリーとサブカテゴリーのマーケット動向で評価してみよう。
A:対象
1. カテゴリーの成長性について
*全国での状況
*当該エリアでの状況
*卸売企業段階での状況
*小売業段階での状況
*小売店舗段階での状況
2. サブカテゴリーの成長性について
*全国での状況
*当該エリアでの状況
*卸売企業段階での状況
*小売業段階での状況
*小売店舗段階での状況
B :データソース
1. 業界データ
*市場規模
*メーカー動向
2. 卸別出荷データ
*商品別
*卸企業別
3. 小売企業別販売データ
*商品別
*店舗別
*定番販売・特売販売別
4. 小売店頭情報
*商品別
*店舗別
*定番販売・特売販売別
*店舗別棚割り表
C:評価ポイント
1. カテゴリーの成長率の増減に変化はあるか
2. カテゴリー内の新製品の数は増加しているか
3. カテゴリー内のメーカー数の増減に変化はあるか
4. カテゴリー内のSKU数(ブランド)の増減に変化はあるか
5. 棚の総尺数の増減に変化はあるか
Ⅱ・・・消費者動向データで評価してみよう。
A:対象
1. 世帯当たり購入金額
*全国での状況
*当該エリアでの状況
*当該店舗商圏での状況
B:データソース
1. 消費者パネルデータ(SCIデータ etc)
2. 総理府家計調査
C:評価ポイント
1. 世帯当たり購入金額
Ⅲ・・・競合店分析データで評価してみよう。
A:対象
1. 商圏情報
*対象人口・世帯数
*競合小売業態と店舗数
*自店の来店客数
2. 企業情報
*財務分析
*売場面積
*付帯サービス
3. MD政策情報(当該カテゴリー)
*売上・粗利・粗利益率・商品回転率・交差比率・PI値
*ゴンドラ本数・SKU数・メーカー数・価格構成グラフ・ サブカテゴリー数
*販売促進手法
B:データソース
1. ダイヤモンド・フリードマン社 (DARMS)
2. 東洋経済
3. 朝日新聞
4. 社会調査研究所
5. 通商産業省
6. R.D.S.(流通POSデータサービス)
7. 社員・外部による店頭調査データ
C:評価ポイント
1. 棚本数変化の増減
2. 棚段数変化の増減
3. サブカテゴリー数の増減
4. 総SKU数の増減
5. 総フェース数の増減
6. 価格構成グラフの変化
7. 特売テーマの変化
8. 特売価格の変化
Ⅳ・・・POSデータで評価してみよう。
A:対象
1. POSデータ
B:データソース
1. 自社POSデータ
2. 外部POSデータ
C:評価ポイント
1. 商品利益(粗利益-販売経費)と販売個数
2. 売上金額
3. 売上金額構成比
4. 売上数量
5. 売上数量構成比
6. 粗利益額
7. 回転数
8. 交差比率
9. 貢献比率
10. サブカテゴリー構成比(数年比較)
11. SKUの前年対比(金額・数量増減比較)
12. 各種クロス分析
(2002/12/11)
MD-ing講座34
カテゴリー・マネジメントについて3
第六は、流通各段階の役割関係(分担)についてです。
カテゴリーマネジメントを実行する場面で、良く起こる事が、総論賛成、各論ゴチャゴチャという事です。つまり、カテゴリーマネジメントを実施する事により、売上、利益が向上するなら是非実施をしましょう。と各段階の上司が参加した会議では決まります。
しかし、ここでは実施することは決まっても、誰が、何を、どの様に、何時までに、コストは誰がどのように負担するのか、といった詳細が決まっているわけではないのです。
その後改めて現場レベルの会議が持たれるわけですが、決定権限が無い者同士の会議で、細目がなかなか決まりません。
あるいは、決まってもいざ本番になって、販売データが貰えない、貰えても紙でのデータ提供で再入力しなければならないとか、進行上の問題が起きた時社内のどの部署が責任を持って対応するのか、など色々な問題が発生します。
この原因は、カテゴリーマネジメントの実施を協同して決めた場合、実施内容、コスト、日程、目標など、それぞれの役割と実行内容を明確化していない事から発生しています。
このような状況を解決するには、決定権限の有る上司が参加する初期の会議の段階で、カテゴリーマネジメントの詳細についても議論できるように内容項目を明文化して打ち合わせを行うことです。
そのためには以下のような内容について、それぞれの段階で議論しておくことが大事になります。
A ・・・ メーカー・卸売業の役割
1. カテゴリーの動向についてのレポート化
①カテゴリー全体の市場規模
②カテゴリー全体の市場成長性
③サブ・カテゴリー別の市場動向
④カテゴリー/サブ・カテゴリー別の市場シェア
⑤カテゴリーの地域別動向
⑥カテゴリーの中のメーカー動向
⑦カテゴリーの中の新製品動向
2. 消費者に関する情報についてのレポート化
①消費者のニーズとウォンツの変化(全国トレンド)
②エリア特性
*エリア内人口・世帯数
*カテゴリーの世帯当たり購入金額動向
*カテゴリーに対する消費者の購買特性
*カテゴリーに対する消費者の消費特性
3. 計画/プログラムについて
①カテゴリー/サブ・カテゴリー分類の基準
②新規アイテム、販売促進、メディア別経費予算などの計画
③カテゴリーに占める自社の売上高と成長率
④当該小売業の自社の販売実績と構成比
⑤商圏内の競合小売業の品揃え・価格情報
⑥自社の実施したプログラムの内、当該小売業が実施しなかったもの(ISM,ISP,新製品 etc)
⑦店舗レベルの品切れ率
⑧棚割り計画
*商品の選別(品揃え)
*グルーピング
*ゾーニング
*フェイシング
⑨棚割り計画のポイント
*カテゴリー動向の把握
・需要動向
・市場動向
・新製品動向
*カテゴリー特性の把握
・商品の使用場面
・購入頻度
・ブランドロイヤリティー
*サブカテゴリーの設定
・使用者別
・パッケイジタイプ別
・利用目的別
・サイズ別
・素材別
・調理方法
・用途別
・価格別
*販売データの分析
・ABC分析
・貢献度分析
・クロスABC分析
・週間販売数量
*仮説の設定
・現状棚割りの問題点
・売れ筋商品のフェース数は確保されているか
・品揃えの重複はないか
・ゾーニングは分かりやすいか
・導入、カット商品の基準は
・売り込み商品は明確か
*棚割り提案
*調整
*棚割り検証
4. カテゴリーの効率指標
①カテゴリー管理のベスト小売業とワースト小売業の把握
②最も優れた販売促進について、その頻度、タイプ、販促ミックスの把握
③当該小売業の競合他店に対する販売促進効果の把握
④カテゴリーの陳列位置のベスト把握
1. 窓口担当者の決定
2. 全体的なマーケティング戦略についてのレポート
3. カテゴリー/サブ・カテゴリーの定義とカテゴリー・マネジャーに対するカテゴリーの担当範囲
4. 販売データ(POSデータ etc)の整備
5. カテゴリーの役割、目的、戦略についてのレポート
6. カテゴリーの効率指標(売上/利益 etc)についてのレポート
7. カテゴリーの標的市場に関する定義と市場細分化について
8. 定番/特売の販売目標について
9. 意思決定の基準(価格、スペース配分 etc)について
10. 使用用語の定義(回転率、在庫、コスト、etc)についてのレポート
次回は「第七 カテゴリーの評価について」です。
(2002/10/17)
MD-ing講座33
カテゴリー・マネジメントについて2
第四は、カテゴリー・マネジメントの背景です。
1. EDLPの定着に伴い、小売業にとってよりコストの削減に努めた効率的な店舗運営が必要になり、徐々に売り上げ指向から利益指向へと転換しつつあること。
2. 業態間競争が激化し、より消費者に「この商品を購入するのだったらあの店」と指名されるような店舗運営が求められるようになったこと。
3. 大手チェーンを中心とする量販店のバイイングパワーの向上によって、メーカーが従来の「月末・単品・大量・押し込み型セールス」の転換を余儀なくされていること。
4. 売り場効率の最大化を目指す小売業と、自社ブランド・シェアの最大化を目指すメーカーとの共通単位として、カテゴリーが最適であったこと。
5. POSデータなど定量的な実績データがリアルタイムで把握可能になり、小売業が持つ店頭情報と、メーカーが持つ製品に関する消費者情報とを融合した店頭計画の実現が可能となったこと。
6. バイヤーにとっても、メーカーにとっても、データの分析能力や分析コストの限界から、現実的な管理基準は単品よりもカテゴリーの段階にとどめておくという共通認識が一般化した。
7. 小売業者がPOS情報をメーカーや卸売業者に提供し、さらに優れた売り場作りの提案を要求する事がベストと考えるようになった。
①どんな商品を ・・・(メーカー・容量・特性)
②どう陳列し ・・・(バーティカル・ホリゾン・ブロック)
③どんな価格で ・・・(ゾーン・ライン・PP・レンジ)
④どう売ったら ・・・(セルフ・対面・販売促進)
⑤どの商品が ・・・(POS情報)
⑥どれだけ売れたか ・・・(POS情報)
⑦そしてどれだけの利益が生まれたか ・・・(計数管理)
第五は、カテゴリー・マネジメントを進めていく場合の手順です。ここではブライアン・ハリス氏の考え方を参考にしています。
プロセス図(ブライアン・ハリス)
(2002/8/21)